赤字カフェを救ったメニュー「ガレット」黒歴史と売上公開【完結編】

ガレットの黒歴史と売上公開 売上実績公開

飲食店のメニューはどのように生まれ、どのくらいの原価率、売上になるか知っていますか?

メニューは同じレシピのまま販売を続けることもありますが、売上が少ない、原価率が高いなどの理由でリニューアルをすることがよくあります。

あらためまして、数ヶ月前まで負債7億円のつぶれかけカフェの社長をしていた、プロ経営者&飲食店コンサルタントのヒロサワです。

私が社長をしていたカフェでも再建初期に「ガレット」(甘くない食事用のクレープ)をリニューアルをして、原価率を10%下げるなどで倒産寸前のカフェを救いましたが、最終的には3度のリニューアル後に販売を終了しました。

そんな歴代のガレットについて、メニュー開発話、原価率、利益率、売上実績、販売終了になった歴史を紹介します。

赤字カフェを救ったメニュー「ガレット」黒歴史と売上公開

つぶれかけカフェは年間の利益1100万円を稼げるまでに立て直しましたが、赤字のダメ店をいきなり黒字化できたわけではなく、さまざまな戦略・施策を実践しました。

再建の初期に実践した戦略は「原価率を下げつつ、売上を増やす」の2つで、それを実現するために次のことを考えました。

・メニューを減らして、使用食材を絞り込む
・看板メニューを作る

そして、戦略を実現する鍵となるメニューこそ「生ハムのガレット」と「スモークサーモンのガレット」です。

この戦略により、原価率は35%→25%に下げることができ、売上は維持できたので、減った原価の分だけ利益を生み出し黒字化できました。

その後、リニューアルをしてバージョンアップしたものの、看板メニューの座を争っていた「たまごサンド」に敗れ、ガレットの販売を廃止しました。

ガレットの歴史

・つぶれかけ期:生ハム0.5枚の貧弱なガレット
・再建初期:リニューアル第1弾
・再建中期:リニューアル第2弾
・再建後期:リニューアル第3弾
・再建末期:廃止

リニューアル前(つぶれかけ期)

生ハムとモッツァレラチーズのガレット

販売価格:630円
原価率:30~35%(推定)
粗利益:408円

■実績値(2015年11月)
販売数:169個
売上:106,420円
合計粗利:68,952円

ヒロサワ
ヒロサワ

再建前の店を象徴するメニューで、顧客満足度を軽視した、生ハムが0.5枚しかないショボいガレットでした。

リニューアル第1弾(立て直し初期)

生ハムのミルフィーユガレット

生ハムのミルフィーユガレット

・リニューアル前は生ハムのカケラがちんまりだったので、ボリューム感を出せるように、安くて量もあって品質の良い生ハムの切り落としを探し出しました。
・盛り付けにも特長を出すため、生ハムの下にはカットした水菜で高さを出しています。
・ガレット生地を2枚重ねているので「ミルフィーユ」と名付けましたが、看板メニューとしての手応えはイマイチでした。

販売価格:880円
原価率:33%
粗利:546円

■実績値(2016年11月)
販売数:185個
売上:162,800円
合計粗利:101,010円

スモークサーモンのミルフィーユガレット

スモークサーモンのミルフィーユガレット

・具材の生ハムをスモークサーモンに変えたメニューです。

販売価格:880円
原価率:35%
粗利:530円

実績値(2016年11月)
販売数:124個
売上:109,120円
合計粗利:65,720円

リニューアル第1弾の総評

売上、粗利アップに貢献しただけでなく、食材とメニューを絞っても品質を上げれば顧客満足度をアップできる手応えを感じ、今後の方向性を決めることができました。

リニューアル第1弾の終了理由

リニューアルから1年半後に終了しました。
当時、私は別会社の経営で忙しく、カフェに関わる日数が激減した月が半年間あり、気づくと業績が悪化していたので、下記の問題解決のために速度重視でリニューアルしました。

第1弾の問題点

・原価管理の能力不足
・担当者の仕入れ能力不足
・盛り付けのオペレーション能力不足
・つまりは従業員教育ができていない ※社長の責任

ヒロサワ
ヒロサワ

水菜なんてスーパーで80~150円で買えるのに業者から400円で仕入れていたり、お酒の在庫の山がホコリをかぶっていたり、生ハムが薬品臭かったり、盛り付けはメニューブックの写真と違った雑な盛り付けをしても、私以外に注意する人が誰もいない状況で、店全体のレベルがつぶれかけ時代に戻っていました。

特に原価率が8%くらい増えていたので、在庫管理、オペレーションの簡素化が必要と考えていました。

リニューアル第2弾(立て直し中期)

スモークサーモンのガレット

スモークサーモンのガレット

アボカドの上にスモークサーモンを石畳のように敷き詰めた見た目が特長です。

販売価格:980円
原価率:36%
粗利:580円

実績値(2018年1月)
販売数:29個
売上:28,420円
合計粗利:16,820円

生ハムのガレット

生ハムのガレット

生ハムの切り落としをキレイに盛り付ける技術の低さを補うため、冷凍時にブロック状にカットするなど、苦肉の策で作ったガレットでした。

販売価格:880円
原価率:33%
粗利:546円

■実績値(2018年1月)
販売数:60個
売上:52,800円
合計粗利:32,760円

リニューアル第2弾の総評

・第2弾のリニューアルは、急激に悪化した店全体の原価率を改善する目的があり、原価率は6%下げることができました。
・ガレットの売上自体は以前に比べると低いものの、スモークサーモンのガレットの盛り付けは気に入っていました。
・販売期間はわずか2ヶ月弱の幻のガレットでした。

リニューアル第2弾の終了理由

私自身がレシピと調理マニュアルを作り、在庫管理の手本を見せることで、原価率は下がったものの、第1弾終了時の問題点は解決されていなかったので、さらなる改良をするために早期に終了しました。

ヒロサワ
ヒロサワ

冷凍庫の在庫を整理していたら、スモークサーモンと間違えて仕入れたであろう「サーモンの刺身」が見つかり、報告もなく隠していたことに怒りと呆れを感じ、食材を減らそうと決心しました。

第2弾の問題点(第1弾と同じ)

・原価管理の能力不足
・担当者の仕入れ能力不足
・盛り付けのオペレーション能力不足
・つまりは従業員教育ができていない ※社長の責任

ヒロサワ
ヒロサワ

あとは誰がやっても儲ける仕組みを構築できた」と調子に乗っていましたが、維持する努力をサボったせいで昔のダメカフェ時代に戻ってしまったので、「慢心はいましめなくてはダメ」と深く反省した出来事でした。

H氏
H氏

…と同時に、短期間で業績を急回復できた自信で、「経営能力がないやつばっかだから、世の中にはつぶれるお店が多いんだな~」「自分って、結構すごいんじゃない?」と慢心してました、実は。

リニューアル第3弾(立て直し後期)

和風だしのたまごガレット

和風だしのたまごガレット

販売価格:780円
原価率:29%
粗利:512円

看板メニューの和風だしのたまごサンドで使っている「たまごペースト」とミックスサンドで使っているロースハムを使ったガレットです。

■実績値(2018年11月)
販売数:83個
売上:64,740円
合計粗利:42,496円

生ハムとアボカドのガレット

生ハムとアボカドのガレット

現場では在庫管理ができないので、食材の絞り込みをさらに徹底して、ソースにランチのミートソースを流用しています。

販売価格:880円
原価率:27%
粗利:595円

■実績値(2018年11月)
販売数:62個
売上:54,560円
合計粗利:36,890円

リニューアル第3弾の総評

・フード部門は「和風だしのたまごサンド」が看板メニューとしてのダントツの売上を作っていたので、ガレットの売上が落ちていたにも関わらず、改良や廃止をすることもなく、惰性で売り続けてしまった気はします。
・販売期間は1年弱ありました。

ガレットを完全廃止した理由

調理のオペレーションをシンプルにしたにも関わらず、盛り付けが雑になっているなど、品質チェックと教育のレベルが低く、向上させる道筋が見えていなかったので、店のシンプル化・効率化を今まで以上に進める一貫で廃止しました。
他にも…
・「和風だしのたまごサンド」がフード部門の看板メニューとして売上を作れていた。
・売上やお客の反応は「支持されていない証拠」として受け止めた。
・品質の良いガレットを焼けるスタッフが少なくなった。

まとめ

・使用食材を絞ることで原価率を下げることができた
・従来よりも顧客満足度(コストパフォーマンス)を良くしたら売上も増えた
・しかし、「ガレット」は看板メニューになれるほどの「店の強み」ではなかった
・看板メニューを目指しているのにお客に支持されていない場合、改良か廃止した方が良い

売上実績公開シリーズ【まとめ記事】

今まで書いた「メニューの売上実績公開」の記事をまとめました。

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