シリコンバレー式バターコーヒーを赤字カフェで販売した方法と結果

シリコンバレー式バターコーヒーを赤字カフェで販売した方法と結果 売上実績公開

近隣の競合する店と同じような商品ラインナップしかない店の場合、お客に選んでもらってわざわざ来店してもらうのは至難の技です。

そのため、競合する店を差し置いて自分の店を選んでもらうには「差別化」が有効で、差別化の手段の一つが「独自性のある商品」を作ることです。

そこで、ダイエット法として当時、一部で話題になっていた「シリコンバレー式のバターコーヒー」を商品開発して、販売することにしました。

販売実績はまあまあ好調で、初月の売上は月8万円(140杯)、1年後には月平均15万円(260杯)、2年後には月平均20万円(350杯)の商品に育ちました。

ヒロサワ
ヒロサワ

この記事を書いている私は、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。

さまざまな試行錯誤をしてきたので、成功と失敗の経験をたくさんしています。

今回紹介するバターコーヒーは私が再建初期に実施した売上アップ施策で、生ハムとスモークサーモンのガレットの次に商品開発したドリンクです。

※再建初期のガレットに関する施策は、関連記事「コメダ珈琲店式メニューで赤字カフェの原価率が下がったワケ」で紹介しています。

差別化戦略とは

マイケル・ポーターが提唱する「競争優位の戦略」のひとつで、他店にはない価値のある商品・サービスを提供することです。

差別化できる要素には、商品、価格、立地、接客、店の雰囲気などがありますが、差別化する最大のメリットは、価格競争に巻き込まれないことです。

価格競争に参加してしまうと、どの店も利益を削った安売り合戦になり、売っても利益が出ずに儲からなくなります。

ヒロサワ
ヒロサワ

価格競争は、相手がギブアップして離脱するまで続きます。
「つぶれかけている店」が「他店よりも安く仕入れて販売できる店」を相手に勝ち残ることは絶対にないので、参戦してはダメです。

独自性のある商品

スタバなどのカフェチェーンや近隣の喫茶店にない商品はないかと探していた時、「シリコンバレー式 自分を変える食事」というダイエット本で紹介されているバターコーヒーを売っている店はどこにもないことに気づきました。

バターコーヒーとは?

ダイエットの特徴は「カロリーではなく、良質の油を摂取することで健康的に痩せる」ことで、コーヒーと中鎖脂肪酸のMCTオイルと牧草で育った牛から作ったグラスフェッドバターを入れてミキサーでよく混ぜ、食事の代わりとして飲みます。

本の中で紹介されていたバターコーヒーのレシピも再現しました。
(ただし、コーヒー豆はスペシャリティコーヒー豆ではなく、業務用コーヒー豆を使用)

コーヒー …200ml
MCTオイル …5ml
グラスフェッドバター(無塩) …10g

バターコーヒーの味

「バターコーヒーって美味しいの?」
「めっちゃ美味しいよー」

…なんてお客同士の会話をたまに聞くことがありましたが、いつも心の中で思っていました。

「嘘をつくなー!」
「砂糖が入ってないので甘くないし、ふわふわ泡のバターはクリーミーでコクは出るけど、美味しいという感覚ではない。」
「バターコーヒーは美味しさではなく、ダイエットや健康のために飲むものなんですよー!」

…と。

MCTオイルは無味無臭なので味はなく、グラスフェッドバターは無塩タイプを使うので、ブラックコーヒーに生クリームをたくさん入れて泡立てたものを思い浮かべると味をイメージできると思います。

差別化商品のメリット

比較される対象が少ないので、利益をしっかり確保した高めの価格で売ることができます。

特にダイエット目的の人は、外出先で食べたり飲んだりできるものが少なくて困っているので、価値を理解してもらえると多少高くても買ってもらえます。

ヒロサワ
ヒロサワ

ただし、私の店では高く売りませんでした。 

同じ商圏で売っている店がない差別化商品だったので高く売ることも可能でしたが、「健康のために日常的に飲んで欲しい」という想いから、普通のコーヒーとの価格差はわずか30円の580円で販売していました。
(原価を考えると、利益は普通のコーヒーよりも少ないです。)

マーケティング

売上を増やすには新規客に対して、シリコンバレー式のバターコーヒーがあることを認知してもらう必要があります。

当時はインスタグラムの映える写真による集客も流行っておらず、バターコーヒー自体も見た目が地味なので、店の前を通る通行人向けに手描きの黒板を掲示することにしました。

同時に、メニューブックでも中鎖脂肪酸のMCTオイルと牧草で育った牛から作るグラスフェッドバターを使った商品の良さをアピールする説明文で、バターコーヒーを知らないお客にも付加価値を伝えて試してもらう工夫をしています。

下記は実際にメニューブックに載せた説明文です。

牧草飼育の乳牛から作るグラスフェッドバターとMCTオイルを混ぜたクリーミーなコーヒーです。
ダイエット向きなので砂糖なしで飲んでください。

バターコーヒーの売上実績

販売価格:580円
原価率:13%
粗利益:461円

販売当初は1日あたり4~5杯の販売数でしたが、バターコーヒーの知名度アップやリピーター客の増加で、2年後には3倍弱までに増えました。

2016年11月

売上:81,200円
販売数:140杯(1日4.7杯)

2019年3月

売上:227,940円
販売数:393杯(1日13杯)

まとめ

  • 差別化戦略は、他の店にない「価値ある商品」で競争優位を築く
  • 独自性のある商品だと価格競争に巻き込まれない
  • バターコーヒーの販売数は1日平均13杯

売上実績公開シリーズ【まとめ記事】

今まで書いた「メニューの売上実績公開」の記事をまとめました。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました