昭和感のあるカフェやドリンクバーのないファミレスで「ホットコーヒーはおかわり無料」というサービスをたまに見かけますよね?
お得感があるから何度か注文したことがあるけど、おかわりしたホットコーヒーが美味しかった試しがないです。
もしかしたら私が知らないだけで、京都のぶぶ漬けのように「もう帰ってくれ!」という裏メッセージがあるんじゃないかと思うくらい、おかわりしたコーヒーはまずいです。
ダメな飲食店がコーヒーのおかわり無料サービスををする理由と経営視点のデメリットを解説します。
こんな疑問にお答えします。
この記事を書いている私は 、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの成功と失敗を経験しています。
この記事を読むと、他店をマネした施策をなんとなくやっている人が、論理的に施策を考える重要性に気付くことができます。
コーヒーのおかわり無料のダメな理由
ドリップタイプのコーヒーマシンの場合、コーヒーがまずい
・コーヒー豆が少なくて味が薄かったり、酸化した油で濁った味が濃縮されたりで、ポットに作り置きされているのでまずいことが多い
・ポットウォーマーで保温したコーヒーは一定時間で廃棄するので、「捨てるくらいなら無料サービスしよう」という考え方もあるけれど、品質の劣化してまずくなったコーヒーは、ありがた迷惑
業務用のコーヒーマシンの場合、原価率が高くなる
・コーヒー豆、砂糖、ミルクを消費するので、おかわりをされた分だけ、原価は倍増する
・業務用のコーヒーマシンの場合は原価は約50~70円で、原価率は約15%ほどになる
・2杯程度ならば赤字になることはありませんが、儲けがなければ意味がない
リピーター客が期待できない
・コーヒーがまずいカフェに、お客は二度と来てくれない
・立地が良ければ、待ち合わせの時間つぶし目的でリピーターになる可能性はあるが、ごく少数なのでお客は次第に減ってくる
セコく感じるお客がいる
・カフェラテやアイスコーヒーは「おかわり無料の対象外」というルールの店が多い
・同じコーヒーなので注文できると勘違いしたお客は納得がいかず、印象が悪くなる
人件費が増える
・おかわりに関連した作業分の時給が「おかわりの費用」として発生する
・「注文を受ける、コーヒーを淹れる、運ぶ」の動作に4分かかった場合、時給換算で70円ほど追加で発生する
スタッフの作業負担が増える
・ホールとキッチンのスタッフの人数に余裕がない、もしくは忙しい時間帯だと、通常時に比べて仕事があふれてしまう
モーニング(7~10時):満席になることはなくても、少人数のスタッフで店を回している
カフェタイム(14~16時):スタッフ数は多くても、満席で店全体が混雑している
おかわり注文時にお客のストレスになる
・忙しい時間帯だと、大声で呼んだり、呼び鈴チャイムを押しても、スタッフがなかなか来てくれず、待ち時間がストレスになる
・おかわりを注文してから持ってくるまで時間がかかる
・忙しくて余裕のないスタッフは表情が険しくなって感じが悪い
・「まともにできないサービス」「店員が迷惑がっているサービス」をやっている店に対してお客が腹を立てる
集客効果がない
・美味しくもないコーヒーがおかわり無料でもうれしくない
・ドリンクバーのお店が他にあるので、ホットコーヒー限定の飲み放題では優位性がない
ダメな飲食店が「コーヒーのおかわり無料」をやる理由
ダメな飲食店は、施策をやる目的や結果を予測しないで思いつきでスタートします。
何かお客を増やせる方法はないか?
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コーヒーのおかわり無料はどうだろう?
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他のお店もやっているからうまくいきそう
つぶれかける飲食店&働く人に共通しているのが「他の店もやっているから、きっと良い施策のはず」という発想が驚くほど多いです。
つぶれかけカフェの実例
私が再建したつぶれかけカフェでは「コーヒーのおかわり無料」をやっていましたが、客席から店内を何十時間も観察をしていると、商売としての違和感に気づきました。
お客がおかわり注文のために「すみませーん!」と大きめな声でスタッフを呼んでいる
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スタッフは忙しそうに動いているので、呼ばれているのに気づかない
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お客はいらつきながら、スタッフが近づいたタイミングで呼び止めて注文
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スタッフはお客にいらつかれていることに納得がいかないが、表情に出さずに我慢している
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キッチンは注文がたくさん溜まっているので、なかなかおかわりのコーヒが来ない
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お客は5分以上待たされて、あきらかにストレスをためている
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ホールスタッフはいらついているお客の接客ばかりで表情が険しい
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おかわりがすぐに来ると思っていた客は待たされすぎて怒りがピークに達している
結果的に、お客・スタッフ・店の3者の誰も得をしていない
このようなデメリットしかないことに気づき、コーヒーのおかわり無料のサービスは廃止しました。
もともと、売上&集客アップになる施策ではないので売上が下がることはなく、お客のストレスとスタッフの作業量をなくすことに成功しました。
モーニングの時間帯におかわり無料を利用している常連客が数人いたので、突然やめるのではなく、終了日を事前に告知&無料ではなく200円の割引価格にしたのでクレームはありませんでした。
まとめ
- コーヒーのおかわり無料はデメリットだらけ
- 原価率が高くなる
- コーヒーがまずい
- リピーター客を期待できない
- セコく感じる
- 人件費が増える
- スタッフの作業負担が増える
- お客のストレスになる
- 集客効果がない
- お客・スタッフ・店の3者が損をする
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