【飲食店の計数管理】数字だけしか見ていないと現場にだまされる?

だまされずに数字を読み取る 運営テクニック

堅実な経営には「数字を読み取る」ことが必須の能力です。

しかし、現場に行って「どのように計測されたのか?」を確認することなく、事務所でふんぞり返って数字だけを見ていると、操作されたり、間違って計測された数字にだまされてしまい、トラブルの危険信号や成功のカギを見逃してしまいます。

ヒロサワ
ヒロサワ

経営の数字ではないけど、コロナ禍の初期に、中国が発表する数字を鵜呑みにして「パンデミックではない」とテレビで断言する専門家やコメンテーターは「賢いけど、読み取る能力がない人」の典型です。

中国が早期に都市封鎖したのに、イタリアなどの死者数と比較すると異常なほど小さい数字を見て、「何も感じない」か「違和感を覚える」かが分かれ目です。

あらためまして、数ヶ月前まで飲食店の社長をしていた、プロ経営者&飲食店コンサルタントのヒロサワです。

私が立て直した負債7億円の赤字カフェの再建初期、イチオシメニューとして販売数アップを狙った「特製バナナジュース」より、何もしていない「ミックスジュース」の方が売れるという理解不能な現象が起こりました。

しかし、「現場に行って観察したら、あっけなく原因がわかった」という経験から、数字を読み取るだけでは不十分だと痛感しました。

数字を読み取るとは?

「読み取る」とは数字をただ眺めるだけでなく、売上、原価率、利益、販売管理費、あるメニューの販売数などから

・業界平均と比べてどうなのか?
・去年、先月の数字と比べてどうなのか?
・売上が悪いのであれば「客数」と「客単価」のどちらに原因があるのか?
・この時間帯の売上が少なすぎるのはどうしてなのか?
・メニューブックに仕込んだ「売るテクニック」が販売数にどう影響しているか?

など、良し悪しを分析したり、何が起きているか想像したり、仮説を立てたりします。

赤字カフェでの経験談

近隣の飲食店経営者の誰よりも現場を見ている自負はありますが、当時の本業はゲーム開発会社の社長だったので、現場に行かずに数字だけを見る日も多くありました。

そんな中、「特製バナナジュース」をたくさん売るために、メニューブックをリニューアルして、写真と説明文付きで目立たせることにしました。
その結果は…

「おっ、狙い通り、特製バナナジュースの販売数はリニューアル前より増えてるじゃん!」
「メニューブックの作り方で、こんなにも変わるのか~」

と、メニューブック作りで「お客に買わせるものをコントロールするテクニック」の実証実験ができて満足していたとき、違和感のある販売データを発見しました。

「えっ? どういうこと?」
「なんで、写真も説明文もないミックスジュースが特製バナナジュースよりも販売数が多いの?」

数字を読み取る能力が低い人であれば、「へ~、ミックスジュースは人気なんだね。」で終わってスルー確実ですが、私には過去の販売数、メニュー自体の魅力、写真付き説明文の有無を考慮すると、誤差やたまたまというレベルではなく、大きな違和感のある数字に見えました。

すぐに電話で現場を統括する管理者、店長に質問しましたが明確な答えはわからず、私は理解不能の気持ち悪いデータを抱えたまま、後日現場に行くことにしました。

現場に行ったらあっさり解決

現場に行って客席を観察していると、特製バナナジュースを注文したのに、売り切れで断られているのを目撃しました。

特製バナナジュースに売り切れがあるとは想像もしていなかったので、従業員に理由を聞くと、特製バナナジュースに使っている「卵の白身が在庫切れになったから」でした。

売り切れにしたら販売数は一定数止まりで、特製バナナジュースを頼もうとした人は仕方なく似ているミックスジュースを注文するだろうから、原因がわかれば当然の結果ですよね。

ヒロサワ
ヒロサワ

店長なら電話で聞いたときに原因をすぐ答えられないとダメなんですけどね…

H氏
H氏

私が関わる前の会社組織はレベルが低く、施策でおかしいことを追求したり、気になったことを報告することもなかったので、土台作りである、組織作りと従業員教育は割りに合わないほどやっかいでした。

また、数字を読み取れない人達が販売データを見て判断すると、
「特製バナナジュースをイチオシにするのはやめよう。」
「この店はミックスジュースが人気らしい。」
「メニューブックの写真と説明文は意味がない。」

というように、チャンスを見逃したり、間違った方向に進むなど、つぶれかけ店に近づくので要注意です。

H氏
H氏

再建前のつぶれかけカフェの経営者と話すと、ほんとにこんな感じでした…

まとめ

・「数字だけ」だと不正確な情報から、正しい情報を見つけることは不可能。
・現場に行って、お客と従業員をよく観察することで、今まで気づかなかった発見がある。
・従業員との信頼関係の構築には、時間だけでなく距離も重要。

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