コメダ珈琲店式メニューで赤字カフェの原価率が下がったワケ

経営戦略

毎月赤字で閉店しそうな飲食店を黒字化する方法として「原価率」を下げるのは有効です。

しかし、原価率を下げるために、漠然と「原価率を30%以下にしよう」「安い食材に切り替えよう」「値上げしよう」と実行してもほぼ失敗します。

潰れかける店の経営者・従業員が持っている知識と実力では、結局は今までやってきたことの延長線上なので中途半端になってしまうからです。

だからと言って、「外部の経営コンサルタントを雇え」という話ではなく、成功している店のノウハウをマネして解決することができます。

コメダ珈琲店式メニューで赤字カフェの原価率が下がったワケ

飲食店が「潰れる」か「儲かる」かは『原価率』で決まると言っても過言ではないくらい重要な指標です。

私が立て直した負債7億円のつぶれかけカフェも、再建前は原価率が35%と高く、黒字化するには大きく下げる必要がありました。

再建に取り組み始めたとき、ビジネス系のテレビ番組で観た「コメダ珈琲店」の社長が業績好調の要因として語っていたことが脳裏に浮かびました。

同一食材を複数のメニューに利用し、食材ロスをほぼゼロにすることで原価率を下げている

そこで、コメダ珈琲店式の「同一食材を複数のメニューに利用する」をキーワードに全メニューをリニューアルした結果、原価を35%→25%に下げることができ、黒字化することに成功しました。



あらためまして、数ヶ月前まで飲食店の社長をしていた、プロ経営者&飲食店コンサルタントのヒロサワです。

原価率について補足すると、同じ飲食店でも業種や立地などによって適正な原価率は異なりますが、つぶれかけカフェは駅前の一等地でどうしても家賃が高くなるので、原価率か人件費率のどちらを下げないと商売が成り立ちませんでした。

コメダ珈琲店とは?

写真はコメダ珈琲店より転載

コメダ珈琲店は名古屋発祥の喫茶店で、全国で873店舗(2020年2月時点)あり、「くつろぎ」を感じてもらうコンセプトで、幅広い年齢層が利用するフルサービス(セルフと違い、席で注文&受け取り)の喫茶店です。
デニッシュパンにソフトクリームをのせた「シロノワール」やボリューム感のあるバーガーやサンドイッチが有名です。

経営視点の特長もたくさんあります。

営業利益率が高い

2015年当時は営業利益率31%でした。
ただし、コメダHDのフランチャイズ事業などを含めた決算の数字であり、直営店だけの営業利益はもう少し下がるのではないかと推測しますが、それでも同業のドトールコーヒー、スターバックスコーヒーの営業利益率5~9%と比較すると圧倒的な数字です。

在庫管理&オペレーションがシンプル

食材とメニューを絞り込むことで、管理する食材数と廃棄ロスを減らして原価率を下げ、簡単に調理できるメニューに限定することで、新人アルバイトでも覚えやすいオペレーションにできます。

客層が広い&暇な時間が少ない

喫茶店は「7~10時」「14~16時」が忙しく、他の時間帯は暇なのが一般的です。
(フードメニューに力を入れている店は「12~13時」も忙しい。)

コメダ珈琲店はゆっくり長居ができるので、一般的には暇な時間帯にもお年寄りや主婦、高校生が利用してくれるので、どの時間帯も売上が安定して、人件費のムダもありません。

ヒロサワ
ヒロサワ

シフトの都合上、「暇な時間帯だけスタッフを減らす」というのが難しく、「暇な時間帯だけで計算すると赤字営業」という店もめずらしくありません。

つぶれかけカフェのコメダ珈琲店式導入実例

再建着手から4ヶ月後に、「複数メニューで食材を使い回す」コメダ珈琲店式を導入したメニューのリニューアルを行いました。

メイン食材は「生ハム」「スモークサーモン」

再建前、フード部門は売上比率14%にも関わらず、メニューはガレット、パスタ、ドリア、リゾット、サンドイッチ、サラダ、ピザ、ウインナー、トーストなど27種類あり、整理の必要がありました。

別記事で紹介した「生ハムとモッツァレラチーズのガレット」は、生ハムが0.5枚のかけら程度しかないのにフード部門ではダントツの販売数だったので、「生ハム」「ガレット」を中心に構成することにしました。

そこで、「生ハム」をガレットだけでなく、サンドイッチ、サラダにも使い回し、さらに使い回し感を薄めるために「スモークサーモン」を追加しました。

その一方で、ドリア、リゾット、パスタ、ピザをメニューから廃止しました。

コメダ珈琲店式の導入前後の比較

2016年6月中旬にメニューのリニューアルを実施したので、前月と翌月の実績です。

導入前(2016年5月)

原価率:35%
メニュー数:112種類
<フード:27種類>

売上:990万円
営業利益:23万円

導入後(2016年7月)

原価率:25%(-10%)
メニュー数:95種類(-17種類)
<フード:17種類>(-10種類)

売上:1,000万円(+10万円)
営業利益:160万円(+137万円)

原価率ダウンに関する補足

原価率が大きく下がったのは、コメダ珈琲店式メニューだけでなく、次の2つ施策を同時に実施したことも大きいです。

・全部門でメニューを削減:原価率の高い生ビールや売れないフードメニューを廃止
・適正利益率の設定:全体的な値上げ&クオリティーアップ

ヒロサワ
ヒロサワ

コメダ珈琲店のメニューがたくさんあって、バラエティー豊富に感じるのは、「使い回しを感じさせない&オペレーションに負荷をかけないノウハウ」と「上場企業は売上アップを求められる = メニューを増やす」があるからです。

儲かっていない店がコメダ珈琲店と同じメニュー数でマネすると確実に失敗します。

※値上げによって原価率を下げた方法に関しては「崖っぷち赤字飲食店が「値上げ」をしたら利益が増えて生き残った理由」も参考になります。

※赤字で倒産しそうな店を基礎から立て直したい人は「【プロ経営者の再建手法】 つぶれそうな赤字飲食店を立て直した4つのステップ」をどうぞ。

まとめ

・コメダ珈琲店式メニューとは「同一食材を複数のメニューに利用し、食材ロスをほぼゼロにすることで原価率を下げたメニュー」
・コメダ珈琲店の特長は「営業利益率が高い」「在庫管理&オペレーションがシンプル」「客層が広い&暇な時間が少ない」
・つぶれかけカフェではメイン食材を「生ハム」「スモークサーモン」に絞り、ガレット、サンドイッチ、サラダで使いまわした。
・コメダ珈琲店式メニューを導入した結果、原価率は35%から25%に下がった。

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