潰れる赤字飲食店を立て直す4ステップ【プロ経営者の再建手法】

プロ経営者の赤字飲食店再建の4ステップ 経営戦略
◆ 店舗の業績回復をまかされたけれど、何から始めればいいのかわからない。
◆ 赤字店の経営を立て直し中だけど、なかなかうまくいかない。
◆ プロ経営者の再建手法ってどんなことをするのか知りたい。
ヒロサワ
ヒロサワ

このような悩み・疑問に答えていきます。

記事の内容

閉店寸前だった店を繁盛店に再建したプロ経営者が、数々の試行錯誤を繰り返して身につけた「潰れそうな赤字飲食店を立て直すための4つのステップ」を実例も含めて紹介します。

プロ経営者&飲食店コンサルタントのヒロサワです。
最近では社長として負債7億円の赤字カフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの失敗といくつかの成功の経験をしています。

いきなりですが、経営改善の適性に関する質問です。

もし、あなたがつぶれかけたカフェの立て直しを任された場合、どうしますか?

「ランチタイムなのにお客がいなくてガラガラなのはメニューのせい?」
「それなら、流行りのスパイスカレーを販売すればいいんじゃない?」

「あと、SNSの投稿とホームページのSEO対策をすれば売上は確実に増えるはず!」

…というような、「新メニューで売上をアップする」という発想になっていませんか?

これだと、残念ながら「経営改善のアマチュア」です。

「いやいや、勝手に決めつけるなよ!」
「カレーはオペレーションが簡単だから客席の回転率も高いし、テイクアウトもできるから、経営的にも優れているんだ!」

「それに、インスタ映えするカレーで行列するカフェがたくさんあるのを知らないのかよ!」

…なんて反論する人もいそうですが、これは残念どころか「タチの悪い経営の素人」です。

飲食店の閉店率は1年以内30%、2年以内50%、3年以内70%と言われており、閉店率が高い理由は「経営改善のアマチュア」や「タチの悪い経営の素人」から脱却できずに、飲食店を経営しているからなのです。

この記事を読めば、一見すると遠回りに感じるかもしれませんが、無駄な失敗を減らし、効果的な施策をすることで、最短距離で赤字店の業績を着実にアップすることができます。

前置きが長くなりましたが、私が赤字店を繁盛店にした再建方法をお教えします。

潰れる赤字飲食店を立て直す4ステップ

赤字で経営が傾いている店を立て直す場合、いきなり売上アップではなく、まずは利益を出すことが必須です。

そして、利益を出すために、経営の基本に沿った4つのステップで進めることが重要です。

ステップ1:数字で見える化
ステップ2:経費の削減
ステップ3:戦略の策定
ステップ4:売上の増加
ヒロサワ
ヒロサワ

「売上アップすれば利益も増えるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、オブラートに包まずにハッキリ言うと、「つぶれかける店のスタッフ」と「経営の基本を知らないアマチュア」の組み合わせで、利益を生み出せることは99%ありえません。

※売上アップを後回しにする理由は、関連記事:なぜ、赤字の飲食店が売上アップを目指すと失敗してしまうのか?で詳しく解説しています。

経営は「穴の空いたバケツ」

「売上」と「利益」の違いをあまりわからない人のために、違いを簡単に説明します。

店のお金の流れは「穴の空いたバケツ」によく例えられます。

赤字で経営が傾いている店のバケツは、蛇口をひねっても出てくる水が少なく、水をためようとしてもボロボロで穴だらけなので水漏れしてしまい、水がなかなか貯まりません。

経営は穴の空いたバケツ

水 = お金
蛇口の水 = 売上
バケツの穴 = 経費
バケツにたまった水 = 利益

冒頭の質問で、売上アップ策で店を立て直そうとする人は「経営改善のアマチュア」と言った理由は、穴の大きさを調べることも、水を供給する水道管に異常がないかをチェックすることなく、「蛇口の改造」でいきなり売上を増やそうとしているからです。

経営を正しく再建する場合、次のような順序で進めます。

1. 数字で見える化:「水量の動き、穴の数と大きさがどのくらいなのか?」
2. 経費の削減:「どの穴をどうやって修理するか?」
3. 戦略の策定:「どこの蛇口を使うか?」
4. 売上の増加:「どうやって蛇口からの水量を増やすか?」

経営を立て直す4つのステップ

ステップ①:数字で見える化

業績の悪い店は、どんぶり勘定であることが多いので「感覚的に悪い」ということはわかっていても、業績が悪い原因の全てを明確に特定できていません。

そのため、決算書や営業データの現在と過去の数字を集め、「一般的な店の経営としてどうか?」「業界の平均と比べてどうか?」などを分析して、何がどのくらい悪いのかを数字で見えるようにします。

ヒロサワ
ヒロサワ

経営者や従業員からも「業績の悪い原因は何か?」をヒヤリングしますが、そこで聞いた内容は参考程度に扱い、数字で分析した結果と当事者の考えている原因とのギャップを知ることを重要視しています。

月次の損益計算書

具体的には月次の損益計算書(残高試算表)月ごとの売上、原価、期首・期末在庫、人件費、家賃、水道光熱費、交際費、修繕費、消耗品、営業利益など、勘定科目の売上に対する比率をエクセルで計算します。
※過去1~3年分

売上比率の判断基準は業種・立地で違いますが、参考として、どれか1つでも下記の水準を超えるとかなり悪いと言えます。

原価:40%以上
人件費:35%以上
家賃:20%以上

キャッシュフロー表

次に、売掛金の入金、買掛金の支払い、銀行への返済など、月々のお金の入出金のタイミングがわかる表(キャッシュフロー表)をエクセルで作ります。
これがあると、どんな支払があるのかを把握することができます。

月次の損益計算書とキャッシュフロー表で「数字で見える化」ができると、ステップ2:経費の削減に取り掛かるときに役立ちます。

店の営業データである「商品別売上」「時間別売上」を数字で見える化すると、ステップ3:戦略の策定ステップ4:売上の増加を考えるときの判断基準や根拠となる資料に使えます。

数字で見える化するメリット

「数字で見える化」ができると、感覚ではなく、数字を基準に判断することができます。

また、ステップ2以降の「経費の削減」「戦略の策定」「売上の増加」を実施するための土台となります。

ヒロサワ
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賃借対照表、キャッシュフロー計算書は「毎月の返済がたくさんある」「仮払いのままで経費にしない不正まがいの処理が多い」など、特殊な状況でなければ、とりあえずは無視しても大丈夫です。

ステップ②:経費の削減

ステップ1の「数字で見える化」したデータを使い、バケツの穴をふさいだり、穴を小さくしたりするために、「どの経費をどのくらい削減できるか?」を決めます。

※会計上では「原価」と「経費」は別物ですが、ステップ2では「原価」も含めます。

適正な売上比率に下げる

飲食店では「原価」「人件費」「家賃」の費用が大きいので、適正な売上比率にしないと利益を出すことができません。

「家賃」は契約で決まっているため簡単に下がらないので、「原価」と「人件費」を適正な売上比率になるように削減します。

業種や立地によって、適正な数字はかなり異なるので参考値になりますが、各コストが下記の範囲に収まり、合計コストが75%に収まるようにします。

原価:25~30%
人件費:15~30%
家賃:10~15%

ヒロサワ
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売上が増えると、相対的に原価・人件費・家賃の売上比率は下がりますが、ステップ2では、売上アップは狙うのは絶対NGで、経費を削減することだけに集中します。

ヒロサワ
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「家賃」は自分たちの意思でコントロールできないので「原価」と「人件費」を優先して削減します。

それでも、家賃減額の交渉は、言うだけならばタダなのでダメ元で相談してみましょう。
ただし、人気のある立地なのに家賃延滞があるとまず無理です。

つぶれかけカフェの実例

私がつぶれかけカフェの再建着手した月の売上比率はこんな感じでした。

原価:37%
人件費:41%
家賃:19%

原価は、原価計算と正しい調理(オペレーション)と在庫管理などができていなかったので、全メニューをリニューアルして、原価計算と適正利益のための値段設定をやり直すことにしました。

人件費は、業績が悪いにも関わらず、前の経営者と腹心的な部下だけが高めの給料をもらい続けていたので減額しました。

家賃は、他のテナントが入居したがる好立地にも関わらず、家賃支払が遅れていて、追い出される一歩手前だったので、値下げ交渉は無理でした。

ヒロサワ
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あらためて見てみると、「よくもまあこんなひどい店の社長を引き受けたもんだな~」と自分のことながら、怖いもの知らずとお人好しさに震えます。

それでも、つぶれかけカフェを立て直した経験と実績は、飲食店向けの経営コンサルティングをやっていくキッカケと自信にはなっていますけどね。

経費(販売管理費)

家賃、人件費(給料+賞与+法定福利費)以外の経費を細かくチェックして削減していきます。

損益計算書では、勘定科目(消耗品、外注費、通信費などの分類)のどれが悪いかはわかりますが、その勘定科目の詳細はわかりません。

そこで、「なんの費用をどこに支払っていて、本当に必要なのか? 妥当な金額なのか?」を判断するには、帳簿の明細や預金通帳を全てチェックする必要があります。

無駄な経費の一例
  • グルメサイトの有料登録 …費用以上の集客効果があるか?
  • 電話回線 …使っていない固定電話の回線がないか?
    インターネット回線 …以前契約した割高な料金プランのままでないか?
  • 複合機(業務用コピー機) …1日50枚以上の印刷がなければ、家庭用の複合機でも十分
  • FAX …現在使用している相手がメール等に切り替え可能なら、FAXを廃止する
  • レジ …月額無料のクラウドのPOSレジ(AIRレジ)に切り替える
  • 店内BGM …有線放送から著作権の切れた曲やインターネットラジオにすれば無料にできる
  • 折込広告 …現在では広告効果が薄いので、広告を出さない場合と比較をしてみる
  • 業者の清掃 …従業員で清掃するか、複数業者で相見積もりして業者を変える
  • 食材・備品 …複数業者で相見積もりしたり、インターネット通販を利用する
  • 水道代 …節水タイプの蛇口に変更する
  • 電気代 …エアコンが古い場合は買い替えたり、温度設定のルールを徹底する
  • 会議費・交際費 …業務にかこつけた私的な飲み食いは禁止する(自腹で払わせる)
  • 印刷デザイン …パソコン、デザイン、写真撮影の能力は必要だけど自前でやってみる
  • WEBサイト運用 …最新情報の更新くらいならば簡単なので自前でやってみる

ステップ③:戦略の策定

「戦略」というと難しそうに思えますが、「たくさんのお客に来てもらって利益を出すために、どのようなことをするか?」を決めるだけです。

ただし、「戦略」という言葉は戦争で使う用語であるように、「飲食店経営は近隣の競合店との戦い」であることは意識してください。

戦略の重要ポイント

利益を出す

最も重要なので最初に書きましたが、つぶれかけの飲食店の立て直しでは「利益を出す」を徹底してください。

内装費にお金をかけたオシャレな店が人気になっても、原価の高いメニューを安く売って行列店になっても、利益が出なかったら業績は一切回復しません。
それどころか、余計な出費が増えているので、傷口を広げて寿命が短くなります。

ヒロサワ
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「タチの悪い経営の素人」は、利益よりも顧客満足度重視など「損して得取れ」みたいなことをよく口にしますが、業績の悪い店は今以上に損をする余力がなく、つぶれる日が近づくだけなので無視しましょう。

「差別化」と「集中」

近隣の競合店と同じような店では、お客から選んでもらうことができません。

そのため、競合店とは違う特長の店にして差別化したり、人気のあるメニューのジャンルだけに集中したりして、魅力や優位性を作ることが重要です。

ヒロサワ
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つぶれかけの弱小店が、大手チェーン店や業績が並以上の店と同じような戦いをしたら必ず負けます。

弱者が生き残るには、弱者向きの戦略で戦うしかないのです。

ターゲットを明確にする

幅広い年齢層と属性をターゲットにする、もしくはターゲットと属性を全く決めないと、特長のない中途半端な店になってしまい、お客から選んでもらえなくなります。

ターゲットを明確にすることで、メニュー作りやデザインコンセプトなどのブランディングも作りやすくなります。

どんなターゲットにするかは、今の店にヒントが隠れているので、数字で見える化したデータを分析したり、店内や店頭の通行人を観察すると良いです。

ただし、利益を出すことが大前提なので、お金をあまり持っていない学生や低価格を求めている人を対象に利益を出すのは難しいので、赤字飲食店の立て直しの場合はターゲットにしてはダメです。

ヒロサワ
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再建したつぶれかけカフェでは、「30~40歳代の女性、価格はあまり気にしない、かわいいモノが好き」をメインターゲットにしました。

あとは、その人達が「飲食店に限らず、実際にあるどんな店を利用するか?」を考えると、他の従業員とイメージの共有がしやすいです。

ヒロサワ
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マーケティングをかじっている人間は、実在人物のように職業、趣味、家族構成、休日の過ごし方まで詳細に決める「ペルソナ」がどうたらこうたら言いますが、あれはサラリーマンが仕事をした気になっているだけなので、やるだけ無駄だと思っています。

ステップ④:売上の増加

経営改善のアマチュアが最初にやろうとする「売上アップ」は、ステップ4の段階でようやく取り組みます。

売上を増やす場合、漠然と「新メニューを作ろう」「広告を使おう」と考えるのではなく、「売上の仕組み」を理解してからアイデアを考えましょう。

売上 = 客数 × 客単価

客数 = 座席数 × 回転率
客数 = 新規客 + 既存客(リピーター)

売上」は「客数」と「客単価」に分解することができます。
さらに、「客数」は「座席数」と「回転率」、「新規客」と「既存客」に分解できます。

分解することで、狙いを絞った施策を考えることができ、施策の進行中にうまくていっているかどうかの効果測定チェックがしやすくなるメリットがあります。

回転率とは?

1日でそのイスを何人が座ったかという考えで、10席ある店に25人の来店があった場合、2.5回転という計算になります。

満席になる店にとっては、お客の滞在時間が短く、すぐに席をあけてくれると、1日にお客がたくさん入れ替わることで回転率が高くなり、客数が増えて、売上もアップします。

なお、満席にならない店では、お客の滞在時間が長くなっても「満席で入れなかったために客数が減る」ことはないので、売上には影響ありません。

売上を増やす一例

新規客を増やす

・インスタ映えするメニューをSNSで集客する
・店頭ポスターで通行人を集客する

既存客(リピーター客)を増やす

・満足度の高いメニューを作る
・感じのいい接客(あいさつ)をする

客単価を上げる

・サイドメニュー、セットドリンク、トッピング、おかわりの注文を増やす
・メニューの価格を見直す(値上げする)

座席数を増やす

・座席稼働率を上げる(4名用テーブルに1~2名客を座らせない、1人客はカウンター席を案内など)
・テーブルレイアウトを変更して、テーブルとイスを増設する

回転率を上げる

・料理の提供時間を短くする
・客が帰ったらすぐに次の客を案内できるように、片付ける時間を早くする
・食事後の食器をすぐに片付けて、早めに帰ってもらうように誘導する

まとめ

  • 赤字飲食店の再建は4ステップで進める
  • ステップ1は「数字で見える化」で、現状の判断とステップ2以降の資料になる
  • ステップ2は「経費の削減」で、原価、人件費、家賃、販売管理費のムダを削減する
  • ステップ3は「戦略の策定」で、たくさんのお客に来てもらって利益を出すために、どのようなことをするか?を決める
  • ステップ4は「売上の増加」で、売上は客数と客単価に分解して考える
潰れそうな赤字飲食店の立て直しに成功した「再建メソッド」の概要と具体策を一部を紹介させていただきました。

 

カフェでの実例ですが、居酒屋などの違う業種はもちろん、パチンコ屋などの飲食以外の異業種でも実績があります。

私の飲食店コンサルティングの特徴は「経営の基本 × ゲーム開発のアイデア力 × 数字分析 の強み」と「利益を重視する」です。

コンサルティングに興味を持ったり、経営相談してみたい方は「当社の飲食店コンサルティングが選ばれる5つの理由」をご覧ください。

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