
この記事を書いている私は、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるきうい🐾です。
負債7億円で赤字営業の『つぶれかけたカフェ』を5年間経営し、年間営業利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな勉強と試行錯誤をしてきたので、成功と失敗のノウハウがあります。
Excelを使った数字管理、業務改善による利益率アップ、IT導入支援による効率化、補助金申請を得意としています。
『つぶれかけたカフェ』のウインナーコーヒーは経営を立て直す前からある平凡なメニューでした。しかし、知恵を使って工夫をすることで、食材(コーヒーと生クリームのホイップ)とレシピを一切変えず、そのまま値上げをしただけで販売数、売上、粗利益が大幅にアップしました。
リニューアル前のウインナーコーヒー
「ウインナーコーヒー」

メニュー名 | ウインナーコーヒー(リニューアル前) |
販売価格 | 580円(税抜き527円) |
原価率 | 19% |
原価額 | 100円 |
粗利益額 | 427円 |
主な食材 | コーヒー、生クリームのホイップ |
メニューの特徴 | ホットコーヒーに自家製の生クリームのホイップをトッピング |
売上の対象年月 | 2015年2月 |
売上高 | 41,180円 |
粗利益高 | 30,317円 |
販売数 | 71個 |
一般的にカフェで売られているウインナーコーヒーのほとんどは、植物性の生クリームで作ったホイップの加工品を使っています。
『つぶれかけたカフェ』を立て直す前のウインナーコーヒーはスイーツ担当のスタッフが洋菓子店でも使う生クリームから手作りしたホイップを使っているにも関わらず、店の関係者は誰一人として差別化できる価値に気づいていませんでした。
その証拠にメニューブックの表記はメニュー名と価格だけで商品説明を一切しておらず、他のメニューに埋もれた平凡なメニューでした。さらに、アイスのウインナーコーヒーは乳脂肪分の多い生クリームだと固くなるという理由から植物性ホイップの加工品をわざわざ仕入れてホットのウインナーコーヒーと使い分けていました。
ウインナーコーヒーのリニューアル第1弾
「自家製濃厚生クリームのウインナーコーヒー」
※見た目と中身は一切変えていないので写真は省略
メニュー名 | 自家製濃厚生クリームのウインナーコーヒー |
販売価格 | 580円(税抜き527円) |
原価率 | 19% |
原価額 | 100円 |
粗利益額 | 427円 |
主な食材 | コーヒー、生クリームのホイップ |
メニューの特徴 | ホットコーヒーに自家製の生クリームのホイップをトッピング(レシピの変更なし) |
売上の対象年月 | 2017年12月 |
売上高 | 104,980円 |
粗利益高 | 77,287円 |
販売数 | 181個 |
『つぶれかけたカフェ』の立て直しから5ヶ月目にはコメダ珈琲店式メニュー戦略を導入して、一部をのぞくほとんどのメニューのリニューアルと値上げをしました。リニューアルはフードメニューが中心だったため、ドリンクメニューはレシピを変えずに、一部のメニューだけ値上げしました。
値上げをするにあたり、店にある付加価値を探して発見したのが、洋菓子店と同じ生クリームで手作りしたホイップとそれを使ったウインナーコーヒーでした。
今までも価値は存在していたけれどアピールをしていなかっただけなので、メニューのネーミングを変え、メニューブックには商品説明文と写真を追加しました。新しく食材を仕入れたり、調理の手間をかけたりしたわけではないので、元手は0円で付加価値をアップさせました。ただし、初めての値上げが絶対に成功する確信はなかったので、ウインナーコーヒーの価格は据え置きました。
メニュー名は「自家製濃厚生クリームのウインナーコーヒー」に変更し、説明文には「北海道産の乳脂肪分38%の濃厚な生クリームで手作りした自家製ホイップのウインナーコーヒーです。」と記載しました。
ウインナーコーヒーのリニューアル第2弾
「コーヒー付き濃厚ホイップクリーム」

メニュー名 | コーヒー付き濃厚ホイップクリーム |
販売価格 | 580円(税抜き527円)※2019年1月 680円(税抜き618円)※2019年2月中旬以降 |
原価率 | 19% |
原価額 | 100円/115円 |
粗利益額 | 427円/503円 |
主な食材 | コーヒー、生クリームのホイップ |
メニューの特徴 | ホットコーヒーに自家製の生クリームのホイップをトッピング |
売上の対象年月 | 2019年1月 | 2019年3月 |
売上高 | 98,600円 | 104,720円 |
粗利益高 | 72,590円 | 77,462円 |
販売数 | 170個 | 154個 |
店内の様子をチェックすると、生クリームのホイップがコーヒーに沈むなど、盛り付けに問題があるウインナーコーヒーが多かったため、教育で熟練度を上げるのではなく、オペレーションを簡単にしようと考えてリニューアルしたメニューです。ホイップを別盛りにしたことで、ネーミングにおけるホイップとコーヒーの主従関係を入れ替え、付加価値をさらにアピールすることを狙いました。
販売価格はリニューアル直後の2019年1月は580円に据え置き、2019年2月中旬のメニュー改定時に生クリームのホイップのポーションを少し増量して680円に値上げしました。
ウインナーコーヒーのリニューアル後の実績比較
売上実績比較 | リニューアル前 | リニューアル第1弾 | リニューアル第2弾 |
---|---|---|---|
メニュー名 | ウインナーコーヒー | 自家製濃厚生クリームのウインナーコーヒー | コーヒー付き濃厚ホイップクリーム |
販売価格 | 580円(税抜き527円) | 580円(税抜き527円) | 680円(税抜き618円) |
原価率 | 19% | 19% | 19% |
原価額 | 100円 | 100円 | 115円 |
粗利益額 | 427円 | 427円 | 503円 |
売上年月 | 2015年2月 | 2017年12月 | 2019年2月 |
売上高 | 41,180円 | 104,980円 | 104,720円 |
粗利益高 | 30.317円 | 77,287円 | 77,462円 |
販売数 | 71個 | 181個 | 154個 |
『つぶれかけたカフェ』を立て直す前の平凡なウインナーコーヒーと比較すると、リニューアル第1弾はメニュー名を変え、メニューブックに商品説明文を追加しただけで、売上と粗利益は2.5倍にアップしました。
リニューアル第2弾は販売数が減ったものの値上げによって売上と粗利益はほとんど変わりませんでした。しかし、コーヒーは季節によって温かいホットと冷たいアイスの販売数が大きく変わるので、ウインナーコーヒーのホットとアイスの合計売上を比較してみたところ、リニューアル第2弾は売上が少し下がっていました。
ホットとアイスの合計売上(12~2月の月平均)
- リニューアル第1弾:145,734円
- リニューアル第2弾:132,174円
実のところ、リニューアル第2弾は注文したお客の反応は目に見えて良く、値上げをしても売上は維持できていたので、本書を執筆するまでは大成功だと思っていました。しかし、データを詳しく確認すると、店全体の売上はリニューアル第2弾の期間の方が大きいのに、ウインナーコーヒーのホットとアイスの合計売上だけを見るとリニューアルによって下がってしまいました。
それでも、ホイップを絞る技術が低くてもできるオペレーションに工夫し、メニューの付加価値をアピールできたので、第2弾のリニューアルはまあまあの成功だったと評価しています。
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