みんなが勘違いしている飲食店の間違った常識3選

きうい
きうい

この記事を書いている私は、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるきうい🐾です。
負債7億円で赤字営業の『つぶれかけたカフェ』を5年間経営し、年間営業利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。

さまざまな勉強と試行錯誤をしてきたので、成功と失敗のノウハウがあります。
Excelを使った数字管理、業務改善による利益率アップ、IT導入支援による効率化、補助金申請を得意としています。

飲食店の間違った常識

経営の勉強をしていない人は、大手チェーン店がやっていたり、テレビ番組で紹介していたりすることを「飲食店経営の正しいこと」だと勘違いしていることがよくあります。

この記事では、3つの間違った常識について解説します。

1.売上アップすれば儲かる

間違った常識を勘違いする理由はシンプルに言うと「経営の原則」を知らないからです。経営の原則とは「利益を最大化すること」です。しかし、経営の勉強をしていないつぶれかけた飲食店は、利益ではなく、売上を最大化することが正しいと信じ込んでいるのです。

つぶれかけた飲食店では、売上が減って赤字になり、悪くなった業績を回復させるためにやることは、新メニューを作ったり、値下げをしたりなど、売上を増やすことが目的になっています。しかし、あの手この手の施策をやって売上が少し増えても黒字になることはなく、運転資金が尽きてつぶれてしまうのは必然と言えます。なぜならば、業績が悪化した本当の理由は、売上が少ないではなく、利益がないからです。

売上が増えてもお金が残らない仕組み

「お金が残る」とは「利益が出る」ことで、売上から原価と経費を差し引いてもプラスになる状態のことです。そのため、売上が増えたとしても、原価と経費の合計が売上を上回ってしまうとマイナスになり、お金は残りません。

売上が増えれば儲かると誤解されている原因は、売上と利益の区別があいまいなためです。次のように方程式にすると、売上と利益の仕組みを理解しやすくなります。

売上 = 原価 + 経費 + 利益

「利益」を求めるために移項すると…

利益 = 売上 - 原価 - 経費
売上:メニューを販売してお客が支払った金額
原価:メニューの食材費
経費:人件費、家賃、水道光熱費、広告費などの原価以外の費用 
利益:売上から原価と経費を差し引いた残り(店の儲け)

質問ですが、この中で1つだけ増やすことができるとしたら、どれを増やしたいですか?

飲食店を経営する目的は、自由に使えるお金を作るためなので「利益」と答えるはずです。中には「たくさんのお客様を笑顔にしたいから売上」や「安くてもお腹いっぱい食べてほしいから原価」と答える人がいるかもしれませんが、慈善活動として貯金を切り崩しながらタダ働きできる人でない限り、いずれ店がつぶれてしまう答えです。

「でも、売上が増えたからと言って、原価と経費の合計が売上を上回るとは限らない。だから、売上を増やせば、利益も増えるはずだ」と考えて納得がいなかいかもしれません。確かに方程式では正しいのですが、つぶれかけた飲食店の状況下においては正しくありません。理由は不効率が必ず発生するために原価と経費が割高になるからです。

つぶれかけた飲食店が売上アップのために次のような施策を行ったとします。お客を増やすために広告宣伝をして、営業時間を増やすためにアルバイトのシフトを増やして、お得感のあるメニューにするために盛り付け量を増やします。しかし、過去に施策をやって成功したノウハウがなければトライ&エラーをすることで原価と経費が余計にかかります。それに、原価と経費をできるだけ使わずに売上を増やす発想がそもそもありません。

最後に方程式の理解度を確認する質問

「売上は増えるけれど利益は減る」「売上は減るけれど利益は増える」の二者択一の場合、どちらを選びますか?

ここまで読んでいただけたなら、後者を選んでいると思います。店の業績を改善したいのであれば、売上アップを目指すのではなく、売上を減らしてでも利益を増やすことに注力すべきだということです。

2.高価な食材を使うと原価率が高くなる

「高価な食材を使う=原価率が高い」は原価率の常識だと思われていますが、実は間違っています。なぜならば、分数の分子である「原価」がどんなに高くても、分母の「販売価格」をもっと高く設定すれば、相対的に原価率を引き下げられるからです。販売価格500円で原価率50%のメニューを2倍の1000円に値上げをするだけで原価率は25%に下がります。

原価率50% = 原価額250円 / 販売価格500円
原価率25% = 原価額250円 / 販売価格1,000円

「販売価格を高くすると、割高感で敬遠されて売上が減るから意味のない考え方だ」と思うかもしれません。
しかし、それはメニューには価格に見合う価値がない、もしくは価値をお客に伝えられていないだけです。販売価格を安くし過ぎて原価率が高くなっているのは、お客に対するやさしさや思いやりではなく、店側がメニューの自信のなさから安売りしているに過ぎません。
ようするに、販売価格に見合う満足度を提供しようとしていない、単なる努力不足です。

ただし、原価率が高いからと言って、必ずしも経営が悪化するわけではないので補足します。

客1人あたりの「粗利益額」が重要

粗利益額は、販売価格から食材の原価額を差し引いた残りの金額です。

原価率10% = 原価額100円 / 販売価格1,000円
粗利益額900円 = 販売価格1,000円 – 原価額100円

例として、A店は1日の客数が10人で全員が1000円のメニューを注文すると、売上は10,000円で原価率は10%なので粗利益額は9,000円になります。

次に、B店は1日の客数は1人だけですが、販売価格10万円、原価率90%のメニューの売上があります。

原価率90% = 原価額90,000円 / 販売価格100,000円
粗利益額10,000円 = 販売価格100,000円 – 原価額90,000円

原価率は90%でも、販売価格が高いので粗利益額は10,000円です。原価率10%のA店よりも、原価率90%のB店の方が粗利益額が多くなる結果になります。

つまり、適正な粗利益額を確保でき、人件費や家賃をまかなえるのであれば、原価率が高くても経営は成り立つのです。

もっとも、高価な食材は賞味期限切れなどで廃棄ロスになると損失が大きいので、高級寿司屋のような原価率の高い商売は在庫管理が難しくなります。

3.原価率を下げるには安い食材に切り替える

原価率を下げる話になると「品質を落としてでも安い食材を探して切り替えること」だという発想の人がたくさんいますが大きな間違いです。
確かに食材費を安くすれば原価率は下がりますが、メニューの品質、味が落ちることにつながるので顧客満足度が下がります。行列がたえない人気店であれば多少の客離れが起きても利益を増やせますが、つぶれかけた飲食店はただでさえ少ないお客が離れてしまうので余計に閑古鳥が鳴くことになります。

「安い食材を探して切り替えること」は正しいので、品質が同等かそれ以上の食材を今よりも安く仕入れることがポイントです。方法としては、仕入先を変えることです。

「そんな食材があるわけない」と思うかもしれません。しかし、つぶれかけた飲食店は同じ卸業者と長く取引を続け、価格交渉をすることなく不定期な値上がりを受け入れた結果、相場よりも割高な食材を仕入れていることが多いです。品質が同等の食材であれば、複数の卸業者に見積もりで価格競争をさせる相見積もり(あいみつもり)をすると簡単に見つけられます。他にも、飲食店向けのネット通販サイトで売られるスポット品(アウトレット品)は、メーカーの生産終了品のため、継続的に仕入れることができないデメリットはありますが、格安で仕入れることができます。

また、原価率を下げる方法は、他にもいくつかあります。

  • 値上げする
  • 付け合せ(副菜)をなくす
  • メニューを絞り込み、仕入れる食材の種類を減らす
  • 棚卸しで廃棄ロスを減らす

この記事を収録している本はこちら

飲食店の原価率をコントロールする経営術

飲食店の原価率をコントロールする経営術
プロ経営者が教える利益を生み出す法則

つぶれかけた飲食店シリーズ 第2巻

980円
※Kindle Unlimited対象



コメント

スポンサーリンク