観光地や高速道路のサービスエリアでご当地のフルーツや牧場の牛乳を使ったソフトクリームを見かけると、イベント感もあるので行列していても食べたくなりますよね?
行列するくらいソフトクリームがたくさん売れている店は機械(ソフトクリームメーカー)がフル稼働して利益を生み出しています。
しかし、ソフトクリームがあまり売れていない店は気づきにくいデメリットがあり、経営的にはマイナスなので、ダメな飲食店にはソフトクリームメーカーがある確率が高いです。
この記事を書いている私は、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、成功と失敗の経験をたくさんしています。
私が立て直したつぶれかけカフェはテイクアウトのクレープ屋を併設しており、そこでは実際にソフトクリームメーカーを設置していました。
さまざまな店の問題点を調べるうちに、ソフトクリームメーカーの問題点を見つけ、ソフトクリームの販売をやめて機械を撤去したら店の利益がアップしたという実例を紹介します。
ソフトクリーム機のデメリット
洗浄メンテナンスの手間がある
一般的な業務用のソフトクリームメーカーは、「ソフトクリームの原液」を投入するだけで、自動で撹拌と冷凍をして完成します。
製造するのは簡単ですが、衛生管理のためには洗浄が必要になり、営業終わりには毎日洗浄します。
ソフトクリーム1個分の原材料を個包装したタイプのソフトクリームメーカーは、洗浄時の廃棄ロスはなくメンテナンスがラクですが、原価率は高めになり、利益が少ないです。
機械洗浄時の廃棄ロスがある
機械に原材料を入れてソフトクリームを作るので、機械内部の洗浄時には残った原材料を廃棄することになります。
ソフトクリームの販売数が多ければ洗浄時の廃棄ロスは微々たるものになりますが、販売数が少ないと、売れた分と廃棄になる分の原材料があまり変わらず、原価率に大きく影響します。
機械の排気熱で室温が上昇する
テイクアウトのソフトクリームを売る店はほとんど屋外みたいな場所にあるので、真夏シーズンには灼熱地獄になり、体調を崩す従業員が増えます。
クレープ屋はクレープを焼くための鉄板があるので、よけいに暑くなります。
機械がスペースを占有する
機械を設置するれば場所が狭くなるのは当然ですが、ソフトクリームを売る店のキッチンはスペースは狭いことが多いので、作業スペースを圧迫してまでソフトクリームメーカーを設置するか見極めないといけません。
つぶれかけのクレープ屋の実例
立て直したつぶれかけカフェのは、テイクアウトのクレープ屋も併設しており、真夏シーズンはクレープの売上が大きく減ります。
そのため、減った売上をカバーする目的で、暑い時期に売れるソフトクリームの販売を始めたらしいです。
ソフトクリームメーカーは、原材料を卸している業者からの無償レンタルなので、初期費用や毎月かかる費用はありませんでした。
(中古機械を購入すると20~30万円程度する)
しかし、ソフトクリームメーカーを導入した効果を調べてみると、1日平均10~30個売れる程度で、クレープの売上減をカバーすることはできていませんでした。
副業でソフトクリームを扱うならば十分な販売数に感じますが、つぶれかけのクレープ屋は一等地にあるので、この販売数はあまりにも少ないです。
ソフトクリームメーカーを撤去した結果
ソフトクリームの販売数はもともと少なかったので、売上と原価がゼロになっても、営業の数字は大きな変化しませんでしたが、ソフトクリーム販売で発生していた非効率でムダな仕事をなくすことができました。
暑い時間帯にソフトクリームを売る必要がなくなったので、「真夏の日中の温度の高い時間帯はテイクアウトのクレープの販売を中止する」という決断ができ、代わりにカフェで販売する「ミルクレープを作る」ことでカフェの売上と利益に貢献できました。
余談ですが、私が再建で店に来る前は、真夏シーズンは労働環境の悪さで熱中症で倒れたり退職者が出るなど従業員の不満が爆発していました。
「利益」ではなく「売上」を求める呪縛に捕らわれた店では、精神論で乗り切る発想しか出てこないだろうな~と気づいた出来事でもあります。
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