・ つぶれそうなダメ飲食店・カフェの「あるあるネタ」を経営者視点で紹介します
・ ダメな理由と潰れないための解決策を飲食店コンサルタント&プロ経営者が解説します
この記事を書いている私は 、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの成功と失敗を経験しています。
初めに断っておくと、今回のあるあるネタは、居酒屋、レストラン、ダイニングカフェなど、ドリンクメニューの中心がお酒のお店ではなく、お酒が1日に数杯しか売れないような、それ以外の業種(カフェなど)でのあるあるネタになります。
お酒を飲む店でなかったり、小さなお店なのに、生ビールを売っているのを見かけたことはありませんか?
日本の飲み会では、最初の1杯は体感90%で生ビールの中ジョッキが注文されるくらいメジャーな飲み物で、お客からは缶・瓶ビールよりも生ビールが喜ばれています。
しかし、生ビールは経営的にはクセモノで、儲からないどころか赤字になりやすいのです。
ダメ飲食店の生ビールサーバーが赤字になる理由
負債7億円のカフェは赤字営業から4ヶ月で黒字営業にすることができましたが、再建初期にムダな経費の見直しをいろいろと行いました。
そのムダの一つが「生ビール」で、生ビールサーバーを撤去して瓶ビールに切り替えた結果、売上を落とすことなく利益を増やすことができました。
「ディナー料理を提供するダイニングカフェならまだしも、軽食しかない昭和感のある喫茶店で生ビールなんてめずらしいな~」
「コーヒーよりも、生ビールは安く売っているんだ? しかも、ピスタチオを無料でサービスするなんて太っ腹だな…」
と違和感を感じたものの、最初の1週間は気づかずにスルーしていました。
…が、すぐに客数は1日に400~500人いるにも関わらず、1日の生ビールの注文はわずか数杯しかないという驚愕の事実を知り、生ビールの販売を廃止することにしました。
生ビールとは
製造工程で加熱処理をして酵母の働きを止めていないのが生ビールに定義されるので、缶・瓶ビールは加熱処理をしていると思いきや、今の製法では熱処理の代わりにろ過で酵母を除去しているので、実はどちらも生ビールです。
「ステンレス製のビール樽」「炭酸ガスのボンベ」「透明のホース」「ディスペンサー」で構成され、炭酸ガスで樽内の生ビールを押し出し、ホースを通ってグラスに注がれます。
赤字理由①:原価率が高い
生ビールは仕入れ原価が高いので、中ジョッキ1杯を550~600円で販売すると、原価率は30~35%になります。
しかし、つぶれかけカフェは、なぜかホットコーヒーよりも安い、500円(税込)で販売していました。しかも、ピスタチオのおつまみ付きで。
原価率は約40%でした。(計算上なので、実際はもっと高い)
そのため、廃棄ロスが想定よりも多くなると、実際の原価率はさらに上がり、利益が出ないどころか、売るだけ赤字になることもあります。
飲食店の全メニューを含めた店全体の平均原価率は30~35%程度ですが、お酒を含むドリンクメニューの平均原価は10~25%程度です。
きちんと儲けているお店は、メインのフードメニューの満足度を上げるために原価率を高めに設定し、ドリンクメニューは原価率を低く設定してトータルで儲ける仕組みになっています。
赤字理由②:廃棄ロスがある
生ビールはビール樽からホースを通って注がれるので、ホースにはビールが残ってしまいます。
時間が経過すると味が劣化するため、営業終わりにはホースに残ったビールを廃棄することになります。
赤字理由③:洗浄のメンテナンスが手間
ホース内の水・スポンジ洗浄、サーバーコックの洗浄など、頻度は違いますが、閉店後に洗浄が必要になり、洗浄する時間は人件費も発生します。
赤字理由④:まずいビールを提供
万が一、洗浄担当の従業員がサボっていたら、品質の悪いビールをお客に提供することになり、店の評判を落とすリスクがあります。
つぶれかけカフェで生ビールサーバーを廃止したメリット
生ビールサーバーが赤字になる要因に気づき、生ビールの販売を終了して、サーバーを酒屋に回収してもらいました。
生ビールの代わりに、外国産の瓶ビールに変更して在庫管理がラクになりましたが、お酒の売上は予想に反して全く変わりませんでした。
しかも、廃棄ロスはなく、販売価格は確保したい利益を上乗せして決めたので、利益は確実に増やせて、さらにはビール樽とガスボンベがなくなったので狭いキッチンが少し広くなり、スタッフの導線が良くなりました。
生ビールをコーヒーよりも安く売り、ピスタチオの無料サービスがダメな理由
- 原価率が高いビールを安売りしたら、売るだけ赤字になりかねない
- 売上アップを目指しても、おかわりがないので客単価はコーヒーよりも低くなる
- お酒とフードをセットで注文してもらって客単価を上げるべきなのに、無料の乾き物があればフードを注文する人は激減する
経験を積んだ今の私が聞いたら、小一時間くらい説教したいくらいのダメな経営者ですね・・・
まとめ
・生ビールのサーバーは「ビールの原価率が高い」「廃棄ロスが多い」「洗浄メンテナンスが手間」「洗浄をサボると店の評判を落とす」の問題が4つ
・生ビールをやめて瓶ビールに切り替えたら、手間がなくなり、売上も変わらず、利益率は改善した
ダメ飲食店あるあるネタ【まとめ】
今までのあるあるネタの記事をまとめました。
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コメント
参考までにお伺いしたいのですが、瓶ビールで提供する際に、原価率はどの程度に設定したのでしょうか。
『販売価格は確保したい利益を上乗せして決めたので〜』とありましたが、前出の『お酒を含むドリンクメニューの平均原価は10~25%程度です。』を目安とした時に(いくらで仕入れているかにもよりますが)販売価格が千円を超えてきてしまうのでは?と思った次第です。
おそらく、海外の瓶ビールだと330ml程度だと思うのですが、コンセプト設定などによる付加価値に余程のものが無い限り、千円は出さないよなーと思います。
店の販売価格は650~850円でした。
立地が駅前のカフェということもあり、深夜帯はお酒だけを単品注文して終電近くまでいるお客さんが多いこともあり、しっかり利益を確保できるようにお酒の原価率は30%を基準にしていました。
「お酒を含むドリンクメニューの平均原価は10~25%程度です。」は一般的な飲食店についての説明だったので、紛らわしかったですね。
ちなみに、再建したカフェの値段設定は、自分が客なら納得できるできるだけ高い値段で、なおかつ粗利益は取りすぎない値段にしていました。