グルメサイトに有料登録してクーポンで集客するか検討している人
・クーポンを発行するとなんでつぶれるの?
・言われてみたらグルメサイトでカフェは見かけないな
・カフェがクーポンを発行してはいけない理由を教えて
このような疑問、悩みにお答えします。
この記事を書いている私は 、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの成功と失敗を経験しています。
飲み会やデートのお店を探すとき、食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメなどのグルメサイトは、星評価、クーポン、電話不要のオンライン予約があるので便利ですよね。
でも、お店のリストには、居酒屋、レストラン、ダイニングカフェようなお酒と食事を楽しめるお店ばかりだと思いませんか?
答えはそこにありますので、カフェがグルメサイトにほとんど掲載されていない理由を解説していきます。
グルメサイトでクーポンを発行するカフェがつぶれる理由
グルメサイトの掲載自体は無料でできますが、クーポンを発行するには有料会員として毎月の1万円の費用が発生します。
例として、客単価10万円・利益率10%の店の場合、利益は1万円なのでグルメサイト経由で1人集客できれば元がとれますが、客単価1000円・利益率5%の店の場合、利益は50円なのでグルメサイト経由で200人集客しないと元がとれません。
また、客単価1万円で1000円引きと客単価1000円で100円引きでは、どちらも10%割引にも関わらず、後者の100円引きではお得感が弱くなります。
そのため、カフェ業種でグルメサイトを使うと元が取れず、計算ができる経営者であれば赤字になるので使いません。
つまり、グルメサイトの集客効果がなく、赤字になっていることに気づかない素人経営者の店がつぶれるのは時間の問題なのです。
グルメサイトのビジネスモデル(儲けの仕組み)
グルメサイトは客側が無料で、店側が掲載料を支払っています。
しかし、実態としては、お客側がグルメサイトの掲載料を払っているのを知っていますか?
もちろん、お客がグルメサイトにお金を直接払うことはありませんが、店は商売なので掲載料をお客に負担してもらう必要があり、「原価率を下げる」か「販売価格を上げる」ことで、間接的にお客が掲載料を払っているのです。
グルメサイトに不向きな業種
客単価(1人のお客が使う平均金額)が低い業種では、全てのメニューで原価を下げる、もしくは価格を上げると他店との価格競争で不利になりやすく、グルメサイト経由のお客向けにだけ高価格のメニューを販売するのも現実的ではありません。
そのような理由から、客単価が低く、掲載料の費用回収が難しいカフェはグルメサイトの掲載が少ないのです。
※宴会コースなどの料理とアルコールを販売できるダイニングカフェは除く
カフェが有料掲載の費用を回収できない理由
コースメニュー(高価格メニュー)がない
最低3000円以上の宴会や料理のコースがないことによって、「客単価」と「原価率」に影響します。
客単価が低いと原価率を下げられない
客単価が高ければ「掲載料分」の原価を下げても料理がショボく見えづらく、販売価格に上乗せしても割高に感じにくいのですが、客単価が低いと目立ってしまいます。
わかりやすく極端な例(利用者100人 = 掲載料分100円)で説明すると…
客単価が高い場合
販売価格:10,000円
原価:3,000円 (原価率30%)
▼原価率を下げる
販売価格:10,000円
原価:2,900円 (原価率29%)
▼販売価格を上げる
販売価格:10,100円
原価:3,000円 (原価率29.7%)
客単価が低い場合
販売価格:500円
原価:150円 (原価率30%)
▼原価率を下げる
販売価格:500円
原価:50円 (原価率10%)
▼販売価格を上げる
販売価格:600円
原価:150円 (原価率25%)
このように、客単価が低いと、原価が少ないので使える食材も限られ、原価率も大きく変わってしまうのに対して、客単価が高いとほとんど変わらないのです。
また、オンライン予約システムを利用すると、予約1名につき、手数料が別途50~200円発生するのでさらに掲載料の上乗せが増えます。
掲載料の最低価格が高い
掲載料は一番安いプランでも月額1万円かかります。
(ホットペッパーは32,000円から)
営業利益率が5%の店で考えると、有料掲載することで月の売上が20万円以上増えないと費用は回収できません。
売上が月100万円の店の場合、グルメサイトを使うことで月120万円になって、ようやくプラスマイナスゼロです。
つぶれかけカフェの実例
私が社長をしていた負債7億円のつぶれかけカフェは、立て直しに取り掛かった時点でグルメサイトに有料掲載していたので、毎月1万円、年間で12万円も支払っていました。
「えっ? カフェなのにぐるなび?」
当時の私も疑問に思いつつ、
「ぐるなびに掲載料を払って、どんな集客をしているのだろう?」
と、グルメサイトの掲載ページにアクセスして、集客の切り札を見て驚愕しました。
50円引きクーポン
※ご利用時は印刷してお持ちください
「はぁ~? バカかよ!」
「マクドナルドに来る子供だって、たった50円のクーポンのためにわざわざ印刷するか!」
「掲載料1万円の元を取るには、いったい何人集客すればいいんだよ!!」
と、取り乱したもののひとまず落ち着き、実際の損得計算をするためにクーポン利用者の数を聞いてみたら、再びたまげました。
利用者はなんと0人!
今月分が0人ではありませんよ?
ぐるなびのクーポンを初めてから、一度も使われていなかったのです。
こんな内容を決めた&疑問もなく毎月支払っていた従業員と、こんなクソ内容の掲載を改める提案もしないぐるなびに腹を立て、すぐに解約しました。
つぶれかけの飲食店は共通して、ムダな出費に無頓着なんですよね。
お金に余裕がないのに。
つぶれかけカフェが費用回収できる客数
客単価:593円(税抜)
掲載料:10,800円(税込)
利益率:赤字だと計算できないので「+10%」と仮定
掲載料10800円 / 利益59.3円 = 客数182人
立て直した後と同じ営業利益率10%でも月182人の利用が必要なのに、実際には赤字なのに利用者0人でも毎月1万円を払い続けている店じゃ、つぶれかけて当然ですね。
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