【飲食店コンサルタントが教える】経営が厳しい店を助ける応急処置法

経営戦略

潰れそうな飲食店の経営を立て直そうと苦労している人
・経営をやったことないから、何をすればいいのかわからない
・頑張って働いているのに、どうして業績は悪くなっていくの?
・プロ経営者が傾いた店をどのように再建するのか教えてほしい

ヒロサワ

こんな疑問、悩みにお答えします。

この記事を書いている私は 、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの成功と失敗を経験しています。

記事の内容

業績の悪い飲食店の経営を再建するシンプルな方法と、それを実現するための具体的な方法を実例をまじえて紹介します。

この記事を読むと、経営がヘタな飲食店が潰れる理由と、プロ経営者が再建する方法を知ることができ、自分のお店の経営に役立てることができます。

業績の悪い飲食店の再建で最初にやることはコレだけ!

売上も利益も下がり、厳しい経営状況から抜け出したいと思ったとき、まずは何をすれば良いと思いますか?

それは…

「今までと違うことをやる」

たった、それだけです。

『は? 何言ってんの?』
『売上が下がって、このままだとジリ貧なんだから、違うことをやるのは当たり前だろボケ』

という皆さんの心の声が私にはすでに聞こえております。

「しかし、言わせてください!」
「経営が傾いて潰れそうな店は共通して”何も行動できない“のです!」と。

負債7億円で赤字だったカフェを利益1100万円の繁盛店にした、具体的な手順を紹介します。

具体的にはまずコレをやる

  • まずは「今やっている、うまくいっていないこと」を全てやめる
  • 目的を「利益を出すこと」に決め、それを実現できる方法を考える
  • 経営者、従業員に目的や意義を納得してもらうまで繰り返し繰り返し繰り返し(※コピペミスではありません)説明する
  • 周りが納得はしても、なかなか動いてくれない場合、「準備」「実行」「効果測定(成否判断)」を自分でやる
  • 実行開始時に100%の完成度を求めず、完成度80%くらいの「とりあえず実行できる状態」でスタートする
  • 実行したら、売上やお客様の反応などの効果測定をして、日々実行しながら改良する
  • どんなに改良しても成果が出なければスパッと止めて、失敗経験を生かして別のことをやる
ヒロサワ

全てに共通して言えるのは、「売上よりも利益を増やすことが重要」だということです。

つぶれかけた店なのに、何も行動できない理由

赤字営業の店は何かしらの行動をしないと確実に潰れますが、経営が相当ヤバい店は不思議なことに経営者も従業員もいつも通りの作業しかやっていません。

では、今までと違うことをやれない理由を従業員と経営者(責任者)では立場が違うので分けて挙げてみます。

従業員の理由

「今までも必死にやっているので余裕がない」
「違うことをすると仕事が増えるのでイヤ」

経営者の理由

「今まで散々やってきたから、どうせ効果ない」
「変えたら、今よりも悪くなりそう」

これでわかると思いますが、最初から違うことを何もやらなかったのではなく、実は過去にはたくさんやってきたけど、成果を出せずに疲弊してしまい、現在はお先真っ暗なのに何も手を打たないという負のスパイラルに陥っています。

つぶれるダメ飲食店での流れはこんな感じです。

① 間違ったことを実行する
② 効果測定をしないから、成功失敗の判断に時間がかかる
③ 失敗してもほったらかし
 ※繰り返し
④ 結果、誰も何もしなくなる

つぶれかけカフェがやっていた失敗実例3選

再建した負債7億円のつぶれかけカフェで、社長として最初に目の当たりにした、前経営者のやっていた失敗実例を紹介します。

① 新メニューを増やす

パスタ、リゾット、ドリアなどのフードメニューを新メニューとして増やしていました。

ヒロサワ

平凡な冷凍食品のメニューなんかを増やして集客できると思ってるんすか?

つーか、カフェなんだから、新メニューを売るなら流行りのスイーツや季節感のあるドリンクでしょ?

カフェは、お茶休憩するために利用されるので、美味しそうなスイーツやドリンクがあると集客につながります。

逆に、フードメニューを食べたいお客はカフェに来ないので、平凡な食事メニューでは集客できません。
それに、フードの売上に占める比率はわずか14%しかありませんでしたので、集客できても効果は小さいです。

② 無料クーポンを配る

クレープとドリンクのセット(900~1000円)の無料クーポン券を200~300枚ほど印刷して配ろうとしていました。

※配布しようかというタイミングで私が再建に着手したので、ギリギリで未遂で終わりました。

ヒロサワ

悪立地で店を認知されていない店ならともかく、人通りの多い一等地の店がやる目的は何なの?

無料(割引)クーポンは、立地の悪いお店が集客したり、馴染みない料理をお試ししたり、損してもとりあえず販売数を増やすなどの理由で使われます。

しかし、つぶれかけカフェの場合、「駅前の一等地にある」「一般的なカフェメニューしかない」「売上よりも利益が必要」という状況なので、無料クーポンを使う必要性がありません。

ヒロサワ

そもそも、集客に成功したら、確実に利益が減ることを予測してる?

一般的な無料クーポンはドリンクなどのサイドメニューのみ無料で、メインの食事をたくさん注文してもらうことで、トータルではしっかり利益を出す手法です。

しかし、つぶれかけカフェの場合、無料クーポンだけでクレープとドリンクがもらえるので、追加注文する余地がありません。

これだと、原材料、人件費、場所代に相当するお金をお客に払っているのと同じなので赤字になります。

H氏

飲食店の閉店率が高い理由は、こんな素人経営をしているからだったりします。

③ 店頭に花を植える

空き缶のプランターに植えた花を店頭に置いていて、10個くらいに増えていました。

H氏

頭の中のお花畑から持って来たんですかね~

「まあ、なんてかわいいお花♪」
「それじゃ、このお店でお茶でもしていこうかしら?」

…なんて理由でお客はお店に入ってくれません。

それに、「高級ホテルのロビーにある華道家や花屋が作るお花」ならまだしも、「下町のお年寄りの家の敷地内から路上にあふれた鉢植えの花」にしか見えません。

「今までと違うことをやる」を丁寧に補足すると

今まで(のダメな施策はスパッと止める)と違うことを(やる余力ができるので、効果がありそうな施策を準備が不十分でもスピード重視でサッと)やる。(ただし、ダメだと感じたらすぐに改良するか、別の違うことをやる)』

完成度100%にしてから実行しようとすると、時間がかかり過ぎて一向にスタートできません。

仮に完成度100%にしたところで成功確率はあまり変わらず、お客様に受け入れられなければ、80~100%までに使った時間とお金は無駄です。

ホームラン1本を狙うのではなく、ヒット3本を狙うイメージで、小さい成功をたくさん作ることを意識しましょう。

つぶれかけカフェの経営再建初期にやったこと&目的6選

① メニューの値上げ&リニューアル&種類を減らす

魅力のない平凡なメニューがたくさんあり、販売価格が安くて利益率が低かったので、メニューの廃止と改良で整理しつつ、適正利益率になるように値段設定を見直しました。

目的:利益率アップ、顧客満足度アップ、原価コントロールをしやすくする

② グルメサイトの有料登録を解約

カフェなのに、ぐるなびの有料登録を利用しており、毎月1万円も払っているにも関わらず、集客効果ゼロだったので、年間契約らしかったけれど、有無を言わさずに即刻解約しました。

目的:集客効果のない費用カット

③ 花や埃をかぶったインテリア等を撤去

前の経営者の古臭いセンスと清掃などのメンテナンスがまともにされていないことが気に入らなかったので撤去しました。

目的:メンテナンスの手間を減らし、手入れの行き届かない店の印象を払拭する

④ 仕入先の変更

何年も取引している業者が取り扱っている食材だけしか使っていなかったので、業務用の安くて美味しい食材をインターネットで探して通信販売で購入するようにしました。

目的:原価を下げる

⑤ 販売数をカウントして日報に記入

新メニューの販売数を従業員に毎日数えてもらい、グラフや日々の推移でどのくらい売れているかを従業員に意識させるようにしました。

※当たり前のことだと思われそうですが、ダメな飲食店は「施策の効果測定」というものを知らないので感覚で判断してしまい、同じような失敗を繰り返しています。

目的:効果測定の仕組みを作り、実行者にフィードバックさせる

ヒロサワ

再建初期は、経営者と飲食店経営の両方の経験不足もあり、売上アップと利益アップを同時に追求するなど、今見返すと非効率なことも多いです。

今なら、まずは経費削減、次に店を立て直すプランを考え、そのあとにようやく売上を増やす施策をスタートします。

⑥ セットメニューを初導入

前の経営者の方針で「ケーキにはセットドリンクをつけない」という意味不明なこだわりがあったので、単品で注文するよりお得なセットドリンクをケーキメニューで始めました。

目的:客単価アップ(?)

ヒロサワ

新しく食材を仕入れる必要がないので簡単に実施できました。
しかし、今まではドリンクを単品価格で追加購入していたお客に対しては値下げになり、割安感からセットメニューの注文数は増えたものの、売上も客単価は大きくは変わりませんでした。

ヒロサワ

この施策では数字の成果は出せませんでしたが、店内のスタッフに対して「今までまかり通っていた『間違ったこだわり』は改革していく」という決意と行動をあらわすことには成功したかなと思っています。

利益を出す ≠ 売上を増やす

業績の悪い店がやりがちな「売上を増やす」という施策がなぜ間違っているのかをまとめた関連記事がありますので、詳しく知りたい人はご覧ください。

最後に:飲食店経営で苦労している人へアドバイス

経営が傾いた店を立て直すための第一歩を踏み出すのは、止まった台車を動かすのと同じで、最初に相当なエネルギーが必要でものすごく大変で難しいです。
真面目な人でも成功体験がないせいで否定的だったり、業績の悪い店ほど高確率で自分の考えを絶対に変えない有害な人さえいます。

周りにやる気があったり、変わりたい想いを秘めている人がいれば少しはラクになりますが、いないのが普通なので、まずは自分が先陣を切ってやってしまうのが最良の選択です。

成果が出始め、それを周りにしっかりアピールする(コレ意外と重要)ことで、次第に協力的な人が増えてくるので、同じような悩みで苦労している人はもう少しがんばってみてください。

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