この記事を書いている私は 、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの成功と失敗を経験しています。
もし、店の経営改善を依頼されて現地調査しようとしたら時間が3分しかない場合、アナタならどうしますか?
私ならば、客用トイレをじっくりチェックをします。
「え? なんでトイレ?」
「飲食店なんだから、メニューとか接客じゃないの?」
…と思ってくれた人、ありがとうございます。
トイレには「お客に対するの姿勢」「清潔清掃のレベル」「従業員の教育レベル」「仕組み作りのレベル」など、店の情報が凝縮されているので、短時間で効率的にチェックすることができるのです。
トイレのチェックポイント
・清潔さ
・臭い
・液体石鹸、ペーパータオル、ハンドドライヤー、ゴミ箱
・清掃チェックシート
・掲示物(案内、ポスター)
もちろん、現地調査する場合は時間を確保して、メニュー、接客、従業員、お客、通行人、店外観、内装などもしっかりチェックします。
トイレのチェックでわかること
お客に対するの姿勢
トイレはお客全員が利用するわけではないので、おろそかになりがちですが、客目線で見れているならば、お客が不快な気持ちにならないように、料理と同じくらいのエネルギーを使わなくてはいけません。
改装工事で新しくしたり、ウォシュレットを取り付けるなどしてお金をかけることは効果的ですが、お金をかけなくても、お客が快適なトイレを使えるように、清潔な状態を維持し続けることが何よりも重要です。
飲食店は料理が美味しければ良いと思われがちですが、「空間と時間」を提供しているという意識のない店がたくさんあります。
ダメ飲食店の特徴
・閉店後の清掃は数分で終わる
・経営者、店長が客用トイレを利用しない
・お客からのクレームがあったら場当たり的に対応する
清潔清掃のレベル
便器、洗面台、鏡、床の隅など、目に見える清掃が重要なのは当然として、目に見えない「臭い」をしっかりと対処する必要があります。
臭いは消臭剤を置くことで多少は軽減できますが、不快な臭いを根本的に消す方法は「しっかりした水洗いを毎日やること」しかありません。
ただし、利用するお客が多いと営業時間中に汚れるので、1~2時間ごとに1度など、簡易的な清掃と備品の補充の頻度を増やす必要があります。
ダメ飲食店の特徴
・臭いがあっても「古いから」「排水口から臭いがくる」と言い訳をする
・液体ソープが残りし少しでも補充されていない
・床にトイレットペーパーの切れ端が散乱している
・ゴミ箱がゴミで満杯
・ハンドドライヤーのパワーが「そよ風レベル」で全然乾かない
従業員の教育レベル
営業時間中のトイレ掃除は、サボっても店長がチェックすることはなく、すぐにお客に利用されるのでバレにくいです。
そのため、従業員が決められたスケジュールで手を抜かずに清掃できるかどうかは、厳しくチェックして指導するか、「お客に快適に使ってもらうために働く意識」を持たせるなど、従業員教育のレベルによって決まります。
従業員教育がある程度できている店は「掃除のチェックシート」で管理することが多いです。
ダメ飲食店の特徴
・「お客に不快な思いをさせたくない」という意識がない
・従業員がトイレを利用したついでに掃除しない
・チェックシートがあっても、未実施による空欄が目立つ
・チェックシートの書き方が雑で適当すぎる
・そもそも、掃除のチェックシートがない
仕組み作りのレベル
「仕組み」とは『作業を誰でも再現できるようにすること』です。
作業マニュアルや作業の漏れを防ぐチェックリストなどを利用します。
フランチャイズチェーンや成長している飲食店、仕事術を勉強している従業員は必ずと言っていいほど取り入れています。
ダメ飲食店の特徴
・仕組み作りの存在を知らない
・古いマニュアルやチェックシートが存在しても正しく運用していない
仕事ができない人ほどマニュアル化を否定しますが、やりたくないことの言い訳なので、とっとと現実の解決策に目を向けさせましょう。
飲食店のトイレの目立つ場所に掃除のチェックシートがある理由は、お客に向けて「ちゃんと掃除していますよ」のアピールするためだったりします。
つぶれかけカフェの実例
私が再建した負債7億円のつぶれかけカフェでは、ベテラン店長が引退し、新しい体制で店を運営してから数ヶ月後、何気なく店のトイレ(男女共用の個室)に入って異変を感じました。
「むむ!?」
「すげーオシッコ臭い!」
トイレの床はオシッコでビチャビチャではなく乾いており、バケツで水をまいて流してもオシッコ臭さは消えませんでした。
閉店後に掃除に立ち会ってみると、驚きとともにオシッコ臭さに納得しました。
閉店後の手抜き清掃
・便器をトイレクイックルでふく
・床にトイレ用洗剤をまく(水で薄めるタイプなのに原液のままで)
・トイレクイックルで床のタイルをふく(タイル目地はふいていない)
・トイレクイックルで洗面台、鏡をふく
・トイレ清掃終了(約5分)
水で流すこともなく、トイレ洗剤の強烈な匂いで「掃除したつもり」になっているだけの清掃を1ヶ月以上続けていたら、そりゃー、タイル目地にオシッコ汚れが蓄積されるから臭いのは当然ですよね。
アホかと呆れたのが、従業員も使うトイレなので、全員がオシッコ臭さを我慢して使っていたという、無関心と無責任さを象徴する事実でした。
現場を監督できる人材の重要さを思い知らされる出来事の一つでした。
閉店後に2時間かけて清掃したら臭いが消えた
・床、壁、天井のタイルをブラシとスポンジで洗浄
・タイル目地はブラシで徹底的にこする
・水の代わりに給湯器のお湯を使って流す
※上記を3回繰り返す
ここまで洗浄すると、オシッコ臭さがほぼ消えました。
…がしかし、1ヶ月ぶりにお店に行くと、またオシッコ臭いトイレに逆戻りしてました。
「バカかよ!」
「臭いが消えた清掃方法や清掃する目的を教えたのに、トイレ清掃も満足にできねえのかよ。」
…と、言葉をマイルドにして注意はしたものの、自分の従業員教育の至らなさで、お客に迷惑をかけ続けて申し訳なかった気持ちでいっぱいだったのを今でも覚えています。
ダメ飲食店あるあるネタ【まとめ】
経営者が共感できる「あるあるネタ」の記事をまとめました。
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