昭和感のある喫茶店やコンビニなどで「たまごサンド」が幅広い世代に人気の理由はなんでだと思いますか?
それは「安心感があるから」です。
たまごサンドは、ほとんどの人が子供の頃から食べて育ってきた身近な味で、食べる前から味の想像ができます。
しかも、まずいハズレを引くことが少ないと思いませんか?
あらためまして、数ヶ月前まで飲食店の社長をしていた、プロ経営者&飲食店コンサルタントのヒロサワです。
看板メニューとは、文字通りお店を代表するメニューで、「お客にわざわざ来てもらえる店」になるためには必要不可欠です。
私が立て直しをした負債7億円の赤字カフェは、再建初期に看板メニューとして「生ハム・スモークサーモンのガレット」で黒字化に成功したものの、自他ともに認める看板メニューになれていませんでした。
関連記事:【飲食店の計数管理】再建したカフェのメニューの売上と原価率を公開「ガレット」
看板メニューになれなかった原因と対策を考えて、新しく開発した「和風だしのたまごサンド」はその後、店の看板メニューとして売上・利益・お客の反応など、満足のいく結果を出すことができました。
看板メニューになる2つのキーワード
安心感
最初に開発した「ガレット」は、名前を知らなかったり、食べたことのない人の多い料理です。
「ガレットを食べられる店は徒歩商圏に1~2店しかないし、クレープ屋のガレットなのに、なんで流行らないんだろう?」
と何日も悩んでいましたが、ビジネス系のテレビを観ていたら、ピッタリな答えを教えてもらいました。
「新しいモノ好きな人」と「保守的な人」は半々いる
競合する飲食店と差別化するため、先進性・少し尖っているメニューを狙っていましたが、確かにそれだと保守的な人には敬遠されると気づきました。
しかも、外観は昭和感の残る古い喫茶店なので、お客は保守的な人の割合はもっと多いはずだと。
そこで、軽食の定番メニューである「サンドイッチ」を候補にしました。
つぶれかけカフェのサンドイッチメニューは「ミックスサンド」のみでしたが、改良しても看板メニューになる予感がなかったので、新しいサンドイッチを考えていました。
家で作ると面倒
赤字カフェの再建初期から徹底している「家で簡単に作れるフードメニューは売らない」を意識して、ひと手間を加えたサンドイッチにしました。
当時、JR新宿駅の駅ナカで「煮たまごのサンドイッチ」が流行っていたので、そのイメージを参考にしました。
NEW看板メニュー「和風だしのたまごサンド」
・保守的な安心感のあるメニューとして「たまごサンド」
・ひと手間を加えた「和風だし味のたまごペースト」
この2つを組み合わせて開発したのが、「和風だしのたまごサンド」(730円)です。
カツオと昆布のダシの配分にこだわりました。
売上の比較
再建前はたまごサンドを販売していなかったので、ミックスサンドとの比較です。
2倍以上の売上を生み出すことができました。
ミックスサンド(2015年5月)
売上:308,420円
たまごサンド(2019年5月)
売上:670,360円
インスタグラムでフォロワー数の多いのカフェ専門アカウントで紹介してもらいましたが、地味なメニューなのに「いいね数」が他店のインスタ映えメニューを差し置いてトップだったのは自分でも驚くほど意外でした。
おまけ:採用しなかった保守的メニュー
・ナポリタン:ボリューム感があり、パスタとソースの原価が低いメリットがあるけれど、フライパンで調理するオペレーションは狭いキッチンでは効率が悪いので不採用。
・ピザトースト:子供の頃に家で作って食べた記憶が強く、家で気軽食べられるものを店で売りたくなかったので不採用。
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