「値上げ」をしたおかげで赤字の飲食店がつぶれずに生き残れた理由

経営戦略

飲食店が赤字営業続きで、値上げしようか迷っている人
・値上げしたいけど、売上が下がって業績は悪くならないの?
・値上げをすると生き残れるって本当なの?
・赤字で経営が苦しいけれど、どうすればいいの?

ヒロサワ

こんな疑問、悩みにお答えします。

この記事を書いている私は 、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、たくさんの成功と失敗を経験しています。

記事の内容

負債7億円のつぶれかけカフェを再建するために値上げした5つの理由と注意するポイントを解説しています。

近くの競合店を意識して安売りしている店は、
「値上げをしたら、常連客が来なくなって売上が減るだろうな~」
と不安になり、儲かっていないのに、何も手を打てずに時だけが過ぎていませんか?

そんなお店に言わせていただきたい。

「そのまま続けてもどうせつぶれるんだから、覚悟を決めてチャレンジしましょう!」

この記事を読めば、赤字営業でつぶれる寸前の飲食店を値上げによって再建する、具体的な方法がわかります。

崖っぷち赤字飲食店が「値上げ」をしたら利益が増えて生き残った理由

月商1000万円のカフェ(ただし、負債7億円、赤字営業で家賃と仕入れの支払い、借金の返済が遅れていた)の社長を私が任されることになり、店が生き残る方法を必死に考えて出した答えが「値上げ」でした。

再建着手から値上げの実施までに4ヶ月かかりましたが、ほぼ全てのメニューをリニューアル&値上げした結果、その月から黒字化することができました。

その後もさまざまな施策を行い、つぶれかけの店が利益を年1100万円も稼げるまでに育てましたが、儲けることができた最大のポイントは「値上げ」だと今でも確信しています

ヒロサワ

売上が大きい赤字店は、成功すれば儲かる金額も大きいですが、失敗すると失う金額も大きいので、求められる覚悟も大きくなります。

値上げをする理由

利益 = 売上 ー 経費(原価、人件費、家賃、その他)

上の計算式でわかるように、「利益を出す」には次のパターンしかありません。

・売上を増やす(↑)
・原価を減らす(↓)
・人件費を減らす(↓)
・家賃を減らす(↓)
・その他の経費を減らす(↓)

この中で最も効果的に利益を出せると考えたのが「売上を増やす」と「原価を下げる」を同時に行える『値上げ』でした。

売上を増やす

▽注意点
経費も一緒に増えたら意味がない

▽解決策
・経費はそのままで売上を増やす(値上げ)

原価を減らす

▽注意点
・食材の品質を下げたり、分量を減らすとお客の満足度が下がる

▽解決策
・仕入れ先や食材を変えて、品質を下げずに安くする
・原価計算、メニューの品揃えの見直し
・在庫管理を見直し、廃棄ロスを減らす
・値上げをして、相対的に原価を下げる

人件費を減らす

▽注意点
従業員数を減らすと他の従業員の負担が増える

▽解決策
・オペレーションやホール導線を見直して効率化する
・忙しい時間帯の余裕を作りすぎない

家賃を減らす

▽注意点
家賃相場と同じ、好立地だと交渉しても下がらない

▽解決策
値下げ交渉はタダなのでダメ元でやってみる

その他の経費を減らす

▽注意点
なし

▽解決策
絶対にムダがあるので1つずつ削減していく

値上げの注意点

儲かっていないけれど行列する人気店であれば、お客は「値段以上の価値」を感じているので、単純に値上げをすれば、お客と売上が少し減ったとしても利益を増やすことができます。

しかし、満席になることの少ないお店であれば、お客は「値段以下の価値」しか感じていないので、中身はそのままで値段だけを上げると割高感が強くなります。
そうすると、お客と売上が一気に減ってしまい、利益を出せるかは読みづらくなります。

ヒロサワ

ただし、今月中にもつぶれそうな状態であれば、明日からメニューの中身はそのままで値上げしましょう。

値上げで必要なこと

値上げをする場合、同時にメニューを改良してグレードアップしましょう。

売値は、グレードアップによる食材の追加や増量などの原価分と必要な利益を上乗せした金額にします。

最適な原価率は?

業種、メニュー、客単価によって一概には言えませんが、複雑な計算が苦手な人は「平均的なお客の客単価の25%」を目安にしましょう。

ヒロサワ

一般的に言われる「原価率30%」が目安でも問題ありませんが、在庫管理やオペレーションがあまい店だと5%くらい上ブレするので、目標値を25%にしました。

一律25%と言わない理由

1品だけ注文するラーメン屋などは一律25%で問題ありませんが、お酒とフードなど多品種を注文する居酒屋の場合、一律で25%にすると「お酒は安いけど、フードが高い」という値段設定になり、酒しか飲まないお金のない客しか寄り付かず、儲かる気がしません。

居酒屋のように1人が複数のメニューを注文する業種の場合、フードの原価率は高くしてお得感を与え、原価率の低いお酒をたくさん飲んでもらって利益を出すなど、メニューごとに原価率のメリハリを付けることが重要です。

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