葉物野菜の価格が急激な値上がりすると経営が厳しいな~
・野菜の仕入価格が高騰する時期は赤字になっている
・野菜の仕入や在庫管理がまかせられる従業員がいない
・ミニサラダをやめたいけど、急になくしたらお客に怒られそう
この記事を書いている私は、元飲食店経営者で経営コンサルの国家資格「中小企業診断士」でもあるダメ飲食店改善ディレクターのヒロサワです。
直近では社長として負債7億円で赤字経営だった、つぶれかけカフェを利益1100万円稼ぐ繁盛店に立て直しました。
さまざまな試行錯誤をしてきたので、成功と失敗の経験をたくさんしています。
天気が悪い日が続くと、レタスなどの葉物野菜の価格が高騰しているなどと夕方のニュースになります。
でも、価格に敏感なのは、家庭の主婦よりも飲食店の経営者だったりします。
主婦はメニューを自由に変えられるので葉物野菜を使わない選択があるのに、飲食店はメニューを売り切れにするとお客に文句を言われたり、融通をきかせてメニューをアレンジするには能力が必要なので、野菜メニューがある飲食店の経営者は頭を悩ませることになります。
飲食店の「経営者」に限定したのは、従業員の場合は仕入れ価格が高くなっても自分の懐は傷まないので無関心なことが多く、納品伝票をチェックしたら「ボッタクリ価格なのにいつも以上に仕入れていた」なんてことはよくあります。
この記事を読むと、仕入れと管理の手間を減らし、原価率を下げるため、野菜の仕入れを縮小・廃止する決断ができます。
野菜サラダをやめると赤字が減り利益が増えた4つの理由
野菜サラダで使っているレタス、キャベツなどの「葉物野菜」は時期によっては仕入れ価格が大きく変動するので赤字になりやすいです。
そこで、野菜サラダが赤字になる理由と、販売をやめることで利益が増える理由を解説します。
サラダメニューを廃止すると、「売上が減り、顧客満足度も下がるのでは?」と心配するかもしれませんが、私が立て直したカフェでは影響ありませんでした。
ちなみに、この記事は、サラダメニューの需要があまりないカフェなどの軽食のお店を対象にした内容で、レストランや居酒屋は該当しません。
赤字理由①:仕入れ価格が値上りする
野菜や果物などの仕入れ価格は市場価格で変動すると、あらかじめ原価計算した原価率を大きくオーバーします。
仕入れ価格をチェックできる従業員がいないと、通常時の2~3倍という価格で、いつもどおりの量を仕入れていることが年に数回発生します。
赤字理由②:日持ちしないので廃棄ロス率が高い
野菜は種類や保存状態によって日持ち日数が違うこともあり、他の食材と比べると廃棄ロスが多くなります。
野菜ごとに鮮度が長持ちする保存方法を調べて実行したり、適切な仕入れ量と在庫量の管理ができると、廃棄ロスは大幅に減らすことができます。
賞味期限など明確な品質基準がないので、人によって問題ない野菜を廃棄したり、傷んでいる野菜をお客に提供してしまう問題があります。
赤字理由③:サラダの原価率は高めに設定
サラダは生野菜をカットしただけのシンプルなメニューなので、原価率を下げるとボッタクリ感が出てしまい、原価率を高めに設定することが多いです。
そのため、野菜が値上りすると原価率が大きく上がってしまい、赤字になりやすくなります。
赤字理由④:仕入れ価格が高騰してもいつも通り
しっかりした経営をする店では小さな変化も見逃さずに、その都度対応をしていますが、業績の悪いダメな飲食店は、ほとんどがこれに当てはまります。
野菜の仕入れ価格が高騰した場合、次のことをやる必要があります。
しっかりした経営をする店では、1~4の選択肢の中から最適な方法を複数選べますが、ダメな飲食店は知らずに「4」を実行しているので赤字になっていることにも気づきません。
「値上げ分を店が負担」は店が損をすると感じますが、野菜の分量や種類を変更したことを全従業員に教育したり、お客に説明する手間のコストを考えると、短期間であれば、そのまま通常販売する方がトータルコストが割安になることもあります。
ようするに、野菜を仕入れなければ赤字にならず利益が増える
野菜を取り扱う場合、通常時と価格高騰時に次のことをやる必要があります。
夫婦2人で営業している店であれば、メニューを臨機応変に変えたり、お客に変更したことを伝えることができるので、たいした問題ではありません。
しかし、アルバイトが納品チェック、キッチン、ホールを担当している店では、上記のことをやるのは簡単ではありません。
そのため、野菜メニューを廃止してしまえば、赤字になる要因がなくなり、結果的に利益が増えるのです。
しかも、野菜の仕入れ、食材管理、野菜を切るなど調理の手間もなくなり、作業負担が軽減します。
スーパーマーケットで売っているカット野菜、冷凍野菜は価格が安定しているので原価率も安定しますが、カフェなどの軽食店に「どうしても野菜を食べたい」というお客は来ないので、無理に売っても意味がありません。
負債7億円のつぶれかけカフェの実例
私が立て直したカフェでは、最初の頃はサラダを650円で販売していましたが、まともな原価計算をしていなかったので、レタスやルッコラなどの野菜をたっぷり使っていて、赤字になっているメニューでした。
社長になって早い時期にメニューをリニューアルして、生ハムとスモークサーモンのサラダを原価率35%、販売価格880円(税込)にしたので、とりあえずは黒字のメニューに生まれ変わりました。
この写真を見て、「880円は高い!」と思った人が多いと思いますが、通常時の原価で285円かかり、廃棄ロスや野菜価格高騰で実質的な原価がもっと上がることを考えると、税込価格880円で売ってもあまり儲からないんですよね。
ちなみに、680円から880円に値上げしても販売数は変わりませんでした。
1年後にサラダを廃止したら原価率が改善して利益アップ
上記の写真の「生ハムとスモークサーモンのサラダ」はリニューアルから1年後に販売を廃止しました。
カフェは黒字営業になったものの、一時的に原価率が悪化したので、店に納品された食材・備品の納品伝票を1枚ずつ全てチェックした結果、野菜価格が高騰しているにも関わらず、何の報告もなく、いつもどおりの量を仕入れていることが判明しました。
従業員に注意や指導はしたものの、適切な仕入れや在庫管理は簡単にできるわけではないので、思い切ってメニューから野菜サラダを廃止することにしました。
他にも並行して原価率改善の施策はしていましたが、野菜サラダをやめたことで、翌月から利益が増えるという、数字で見える成果を出すことができました。
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